しばらくして、全員の手当てが終わった。
ニキが立ち上がり、みんなに声を掛ける。
「ゲームする人〜。」
「やる!」
「僕も。」
「やるか〜。」
ジェイク、ソンフン、ジェイが次々と声を上げる。
四人がテレビにゲームを繋いで準備を始める中、
ジョンウォンとジナはソファに座って、その様子を眺めていた。
「よし、キャラクターどれにする?」
ジェイクがコントローラーを手にしながら尋ねる。
「俺これー!!」
ニキが素早くキャラクターを選ぶ。
「あ!僕がそれ使いたいのに!!」
「おいソンフン、何だそのふざけたカスタマイズ。」
「これ意外と強いんだよ。ジェイのやつには負けないよ。」
わちゃわちゃと楽しそうな四人を見て、ジナは微笑む。
みんないつも、こうやって遊んでるのかな。
さっきまで激しくケンカしていたとは思えない。
今は普通の高校生だ。
少しすると、
「俺、ソヌの様子見てくる。」
ジョンウォンが立ち上がる。
そしてジナにだけ聞こえるくらいの声で、
「ジナも。」
そう言って、そっと手招きをする。
ジナは頷いて立ち上がり、ジョンウォンの後についてリビングを出た。
何で私を呼んだんだろう…。
ジナは密かにドキドキしていた。
二人で、ソヌがいる部屋を覗く。
ソヌは、静かに眠っていた。
起こさないようにそっとドアを閉める。
二人は廊下に戻り、リビングへ足を進める。
その時、ジョンウォンが足を止めた。
「ジナ。」
「ん?」
「話したいことがあって。」
ジョンウォンはその場で振り返り、ジナと向かい合った。
「……。」
少し間が空く。
ドキ ドキ
静かな廊下で二人きり。
大きくなる鼓動が、聞こえてしまわないかと
ジナは心配になった。
ジョンウォンが口を開く。
「ジナが無事で、本当に良かった。」
静かな声だった。
「だけど……もう、ケンカについて来る事はしないでほしい。」
その言葉が、まっすぐにジナの胸へ届く。
「うん……。私も反省してる。」
ジナは目を伏せた。
「…その、怒ってるわけじゃないよ。」
ジョンウォンは、少しだけ声を和らげる。
「ジナも分かったと思うけど、相手の縄張りに入ったりしたら、本当に危険なんだ。」
「うん。」
「ジナの声が聞こえて、捕まってるのを見た時……本当に焦った。」
ジョンウォンの瞳が揺れる。
「何かあったらどうしようって……。」
そこで一度言葉を止める。
何かを躊躇うかのように、ジョンウォンは小さく息を吐いた。
「……ジナのことが、心配なんだよ。」
ぽつりと言うと、
ジョンウォンは腕を広げて、ジナを抱きしめた。
「……!」
突然のことに、ジナは目を見開く。
「ジョンウォンくん……?」
腕の中に包まれた瞬間、鼓動が一気に速くなった。
顔が熱くなる。
「ジナには、危ない思いをしてほしくない。」
頭上から降ってくる、少し掠れた声。
ジョンウォンくん……。
想いが込もったようなその声に、ジナの胸はきゅっと締め付けられる。
ジョンウォンくんは、私のことを、こんなに大切に思ってくれてたの…?
驚きと嬉しさが入り混じって、どう受け止めたらいいのか分からなかった。
ガチャッ
その時、リビングのドアが開いた。
「……?」
二人が同時に振り向く。
そこには、ニキが立っていた。
「おっ?」
ニキは二人の姿を見ると、一瞬動きを止める。
しかし、ドアを閉めながら、その口角は上がっていく。
「…あら、リーダーったら大胆ですね〜♡」
茶化すように声を掛けるニキ。
「うるさい。」
ジョンウォンは即座に返した。
けれど、その顔はみるみる赤くなっていく。
ジョンウォンは気まずそうに腕を緩め、ジナから離れた。
「じゃ、俺は行くんで。」
ニキはニヤニヤしたまま、軽く手を上げる。
そのままトイレの方へ歩いていった。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。