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2019/02/27

第4話

第四話
 唐突に紡がれた死を意味する言葉に、美琴は息を呑む。
 虹子が説明を続けた。
虹子
虹子
苛立ちを募らせてる人間にドゥンケルが入った場合だと、そのひとは感情を爆発させて、周囲のひと達に危害を加えたりするわ
朝弥
朝弥
そして、その原因となるドゥンケルは、他でもない……人間達のマイナスの感情が寄り集まって、生まれるものなんだよ
 連なるふたりの発言が、美琴に落ち着きを与えてはくれない。
 様々な情報ですっかり乱れた思考を美琴はなんとか整えようと努力して、返答をした。
美琴
美琴
そんな、ものが……。で、でも、そんな話がニュースになってるの見たことないですし、周りのひとがそんな話してるところも――
朝弥
朝弥
ドゥンケルは、普通の人間には見ることが出来ないんだ
美琴
美琴
え……
虹子
虹子
でも、この怪物が昔から存在していたのは事実よ。一応、記録が残ってるしね。……おもてに出せる記録ではないけど
 唇に弧線を描いて言った虹子を、美琴は呆然として眺める。
朝弥
朝弥
つまり……それを退治するのが、僕や虹子さんの――退魔師の仕事なんだよ
美琴
美琴
……退魔師……
 朝弥の台詞を繰り返した瞬間、唐突に虹子が美琴に顔を寄せ、明るい笑顔を見せた。
虹子
虹子
そ、こ、で。みぃちゃんに相談があるんだけどぉ~
美琴
美琴
な、なんですか……
 いくらか相手から身を引きながら、美琴は答える。虹子は瞳を輝かせた。
虹子
虹子
みぃちゃん……退魔師になってみる気、ない?
 最初、美琴はなにを尋ねられたのかわからなかった。彼の言葉を脳内で繰り返して、美琴は目をしばたたく。
美琴
美琴
……は?
朝弥
朝弥
虹子さん、そんな直球に……
虹子
虹子
いいじゃない。頼み事はわかりやすくてなんぼでしょ~
 本日何度目になるかわからない、展開についていけなくなった瞬間だった。美琴は朝弥と虹子を交互に見やる。
美琴
美琴
あ、あの……
虹子
虹子
じつはね、みぃちゃんを引き止めたのは他でもないの。あなたにこの話をしたくて、ここまで引き止めたのよぉ~!
 虹子は話を進めようとする意欲に満ちていた。美琴は彼から顔をそむけ、朝弥に視線を向ける。
美琴
美琴
あ、あのっ、先輩……っ
朝弥
朝弥
……ごめん、桃木……
 言って、朝弥は申し訳なさそうに眉尻をさげた。
朝弥
朝弥
……さっき、僕【ドゥンケルは普通の人間には見えない】って、言ったよね
美琴
美琴
ああ、確かそんな――ん? あれ、でも私……
朝弥
朝弥
そう、僕も最初、驚いたんだけど……。桃木、君にはあれの姿が……見えていたんだよね?
 自身を襲った影の怪物の姿を想起し、美琴はおそるおそる頷く。
 朝弥が、美琴に言い聞かせるような声調で重ねた。
朝弥
朝弥
普通の人間には、ドゥンケルは見ることさえ出来ない。つまり、あれを見ることが出来ていた君には――退魔師の素質があるっていうことになるんだ
美琴
美琴
……わ、私……に……?
 にわかには信じられない話である。なにせ、ほんの一時間前までは退魔師やドゥンケルの存在さえ知らなかったのだ。
 ドゥンケルに襲われただけでも十二分に混乱しているというのに、退魔師の素質があると言われても、どう応えればいいのかわからない。