第8話

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2023/02/12 13:13
side JK



『!…おいひぃ、』




んんん、まじかわいい。
遠慮がちのあなたが頬張ってる。

お互いの仕事の話もしつつ、
プライベートも基本的なプロフィールでさえ
謎に包まれたあなたについて知りたい。




「あなたは、自分のこと話すの好きじゃない?」

『……うん、嫌われないでしょ、』

「嫌わないよ、誰が嫌うの」




俺がそう言うと、あなたは曖昧に笑う。




『僕、ハーフなの。日本と韓国』

「……知らなかった、」

『公表もしてないし、隠してたから。
小さい頃からアメリカにいて、
日本に引っ越しても殆ど英語で生活してた。
両親は事故で、もういない。施設で育って、
高校生になるタイミングでこっちに越してきたの』




耳にかかっていた髪が
さらりと落ちて、あなたの瞳を隠した。




『日本とのハーフで、言葉は英語混ざってるし
あんまり上手くやってけなくて高校はすぐ辞めた。』




机に置かれた手が少し震えていて、
あなたは優しいから言葉を濁したけれど
辞めるほど酷い扱いを受けたことは明白で。




『……あんなふうに過ごすより、
自分を隠して生きる方がずっと良いよ』




だから言わない、と
小さく笑うあなたの目から涙が落ちた。

それを見た瞬間、居ても立っても居られなくて
あなたの側まで行って抱きしめた。

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