side U
"「まさか何かされたの?」"
『あに、違うよヌナ、』
そう早口で焦ったように話すヌナに、
電話越しでも心配してる表情が浮かぶ。
仕事の途中だったみたいで、
時々タイピング音が聞こえてる。
"「ほんとう?」"
『うん、ほんと。だから心配しなくても大丈夫だよ』
少しそうして話してから
ヌナが怒られちゃう前に電話を終わらせる。
不仲、というか
僕が一方的に避けてしまっているだけで、
何かされたわけでもないけれど。
『……苦手、』
不意に目が合って、いつも勝手に気まずくて
なんとなく、避けてしまう。
そもそも人と付き合うの、好きじゃないし。
「まあ、向こうは違うみたいだけど」
『え?』
マネヒョンが僕の言い訳を聞きながら、
くしゃくしゃと雑に頭を撫でて笑う。
ほら、と見せてもらった携帯の画面には
彼のツイートがトレンドをかっさらっていた。
"大好きです。友達になりたい"
たったそれだけ。
普通なら何を指してるかも分からないのに。
「ふはっ、真っ赤じゃんか、あなた」
だから、苦手なんだってば。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。