第2話

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2026/01/30 12:00 更新
あなた
……昨日、人を殺しちゃったんだ
彼女は玄関に入り、泣きじゃくりながらそう言った。

涙で悲痛ながらもどこか無気力なその独白に、私はすぐに何かを言うことは出来なかった。

洗面所からタオルを取ってきて、とりあえずで髪だけ拭いておいた。
あなた
……ごめんね、何も言わずに来たのに
kgm
いいんです、そんなこと気にしないでください。
それよりこのままだと風邪引いちゃうので。服も濡れてるし寒いですよね……
どうするべきかとあたふたしていると、あなたの下の名前さんが濡れた服を掴みながら口を開いた。
あなた
加賀美くんの服、借りてもいいかな……?
彼女が潤んだ目でこちらを見る。

驚いて目を見開いてしまったのを隠すために、返事もしないでクローゼットへ走った。

中学生の時に使っていた服を見つけて、手に取ってまた戻る。
kgm
これで良ければ……
サイズは合わないと思いますが
あなた
大丈夫、ありがとう。
それでその……えっと……
彼女が何やら気まずそうな顔をしてきょろきょろするので、何だろうと思って首を傾げる。
あなた
あの……どこで着替えればいいかな……?
そう言われて、私はようやくはっとした。
kgm
あ、あぁ!そうですよね!洗面所使ってください!
洗濯機も使ってもらって大丈夫なので!
あなた
……ふふ、ありがとう……
彼女は泣きながらではあったが、今日初めて私に笑顔を見せてくれた。
あなた
……ごめんね、服ありがとう
飲み物を用意し終わったところで、彼女が着替え終わったようでこちらへ来てくれた。
kgm
いえ、いいんです。
……やっぱりサイズはだいぶ合いませんよね
あなた
まぁ、しょうがないよね。私小さい方だし、加賀美くんは結構背高い方だからね
そう言って彼女はまた笑ってくれた。

よく見ると涙はもうかなり引いていた。ただ目が少し腫れていて、見ていて辛いのは同じだった。
kgm
これ良かったら飲んでください。
アイスティーお好きでしたよね?
あなた
うん……覚えてたの?
kgm
当たり前じゃないですか。
さっきまで濡れていたと言っても、もう夏ですし暑いでしょうし
あなた
ありがとう……
あなたの下の名前さんはストローを口に含んで静かにそれを飲み始め、少し経ったところでストローを離した。
あなた
もう何となくわかってると思うけど……
殺したのはね、隣の席のアイツだよ
彼女はどこを見るでもなくぼーっとした目をしてそう話し始めた。
あなた
もう嫌になっちゃってさ……肩を突き飛ばしたら、打ち所が悪かったみたいなんだ
kgm
それは……
また何も言えなくなってしまう。

高校で出会ってもう2年目になると言うのに、彼女のこんな表情は初めて見た。
あなた
だからさ、今日はお別れしに来たの
kgm
……は?
あなた
ほら、もうここにはいられないと思うし、どっか遠いところで死んでくるんだ
あっけらかんとそう言い放った。

私はそんな彼女がいつもよりももっと魅力的に見えてしまった。気付いた頃には口が動いていて、
kgm
それじゃあ、私も連れて行ってください

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