彼女は玄関に入り、泣きじゃくりながらそう言った。
涙で悲痛ながらもどこか無気力なその独白に、私はすぐに何かを言うことは出来なかった。
洗面所からタオルを取ってきて、とりあえずで髪だけ拭いておいた。
どうするべきかとあたふたしていると、あなたの下の名前さんが濡れた服を掴みながら口を開いた。
彼女が潤んだ目でこちらを見る。
驚いて目を見開いてしまったのを隠すために、返事もしないでクローゼットへ走った。
中学生の時に使っていた服を見つけて、手に取ってまた戻る。
彼女が何やら気まずそうな顔をしてきょろきょろするので、何だろうと思って首を傾げる。
そう言われて、私はようやくはっとした。
彼女は泣きながらではあったが、今日初めて私に笑顔を見せてくれた。
飲み物を用意し終わったところで、彼女が着替え終わったようでこちらへ来てくれた。
そう言って彼女はまた笑ってくれた。
よく見ると涙はもうかなり引いていた。ただ目が少し腫れていて、見ていて辛いのは同じだった。
あなたの下の名前さんはストローを口に含んで静かにそれを飲み始め、少し経ったところでストローを離した。
彼女はどこを見るでもなくぼーっとした目をしてそう話し始めた。
また何も言えなくなってしまう。
高校で出会ってもう2年目になると言うのに、彼女のこんな表情は初めて見た。
あっけらかんとそう言い放った。
私はそんな彼女がいつもよりももっと魅力的に見えてしまった。気付いた頃には口が動いていて、












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。