なかむが鈴を鳴らした瞬間、地面に穴が空いて俺だけが落ちた。
一度視界が真っ暗になって、気が付いたら最寄り駅の改札を出たところだった。
…急に落とすのは違うだろ
そういう意味では出れてよかったのかもしれない
ザク、ザク、ザク、…
木漏れ日がチラチラと視界を点滅させる
少し湿りっ気のある土を踏みしめながら、
獣道を歩いていた。
昨日なかむに渡された紙を頼りに道なりに進んでいるが、文末には
「そこから好きなように歩いて、何が何だかわかんなくなって来たらそこ」
としか書かれていない。
意味不明な説明がすぎるが、疑問をぶつけられる相手も何もいないので、言われた通り好きなように歩いている。
右手に握る小さなメモ用紙と睨めっこをしながら、先程まで辿っていたであろう道と照らし合わせる。
尚、全く理解は出来ない。
もう2キロぐらいは歩いてるだろうし
もうそろそろ帰れなくなる気がして素直に助けを求めようと思った。
てか最初からこうすりゃ良かった。
そう思いながらメモ用紙から視線を外した
目の前に、信じ難い光景が広がった。
森の中に居たはずが俺はいつの間にか何処の街中。
人々は皆んなコスプレみたいに全く人間には見えない格好をしていた
右を見れば中華文明を思わせる赤い光と特徴的な建物
左を見れば中世ヨーロッパとそっくりな白色のレンガ造りの城壁や民家
まっすぐ進めば1980年代アメリカを思わせる米国風な都市と大きなサーカステントと9階以上はある高く青い建物
だった一歩が次元を左右するゲームの中に迷い込んだかと錯覚させられるほど、情報量の多い景色ばかりだった。
うん確かに訳が分からんわ。
てか普通にここ何処だよ
無意識に右手に握るメモを覗く
思わず呟いた。
メモ用紙は何故か水色に光っていた。
それは紙自体が光ってる訳じゃなく、所々滲んで見える文字っぽいものによるモノだった。
俺が見た案内のとは全く別の事が書かれてる。
もういっそ事前に全部説明してくれ…
そこから4つ目の曲がり角で路地に入る…
道を進んでいくにつれ、どんどん人の気配は減っていく
次第に、景色はさっき背を向けて歩いた筈の赤いランタンが映える中華街へと変える。
そんな景色を見ながら半分観光気分で歩いていた
…ちゃんと書かれてる通りに進んだけど
文末にはそこで扉を探してとしか書かれていない
目の前には木を柱にして積み上がったような石の壁。
ゲームとかでよくある回転扉を想像して、壁を押してみたり、溝を探したりしてみる。
何も変化は無い。
そう言いながら、地面に座り込んだ
流石にノンストップで何もわからないまま歩き続けて疲れた。
道行く人々は俺の事を見て驚いた顔をし、少なくとも向こうが俺の視界から外れるまでじっとそのまま見られていた。
まるで天然記念物を見る目だ
あれ、コスプレじゃなくて_____

模試の時に描いたたらこさん。













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。