第4話

#.04
56
2026/08/16 09:15 更新
その日の帰り道。今日は友達と帰らずに一人で帰る日だった。
…ていうかもとから、一緒に帰る友達がいない。

高校になって悩んでることは、友達が周りにまんべんなくいるため、親友という親友がいないのだ。
冬城 椿
冬城 椿
はぁ…
久我 遥
久我 遥
あれ、一人?
冬城 椿
冬城 椿
最っ悪……なんでお前がいんの…
久我 遥
久我 遥
いや、一緒に帰る人いなくて
冬城 椿
冬城 椿
嘘!?女はどうしたんだよ女は
久我 遥
久我 遥
さっき逃げてきた
冬城 椿
冬城 椿
ぁ、ははは…
 
久我 遥
久我 遥
俺は今、椿と帰りたい
冬城 椿
冬城 椿
っ───
冬城 椿
冬城 椿
は!?!?!?!?
久我 遥
久我 遥
え?なんか変なこと言った?
冬城 椿
冬城 椿
俺と、っ、か、かかか、帰りたいっ…て、?え?
久我 遥
久我 遥
ふふっ、あははっ
冬城 椿
冬城 椿
はい今俺の反応見て楽しんでますよね!?完ッ全に楽しそうに笑ってますね!?!?
久我 遥
久我 遥
だって楽しいんだもん
冬城 椿
冬城 椿
まさかお前ドS??
じゃあお前のこと好きになる奴ってだいたいドMってこと?
久我 遥
久我 遥
そうとは限らないけど、その場合もあるんじゃない?
冬城 椿
冬城 椿
出たその否定もせず肯定もせず……それってあれだろ!!責任負いたくないからだろ!?!クズがやるやつ!!あー!!クズクズ!!!早死にするぞぉ!!
(※あくまで椿くんの考え方です。)
久我 遥
久我 遥
そんなの生きてみなきゃわかんないじゃん
冬城 椿
冬城 椿
なに哲学みたいなこと言ってんだよ
久我 遥
久我 遥
事実だけどね
冬城 椿
冬城 椿
はーー…うざ、まじうざいもう消えろよイケメン
久我 遥
久我 遥
イケメン?嬉しいな、椿公認のイケメンなんて。
褒めてくれてありがとう
冬城 椿
冬城 椿
い、今のは間違えただけだ!!!
久我 遥
久我 遥
ツンデレだなあ
久我 遥
久我 遥
それで?一緒に帰っていい?
冬城 椿
冬城 椿
……と、隣歩くだけだからな!?
話しかけんなよ!?
久我 遥
久我 遥
じゃあジェスチャーで話しかける
冬城 椿
冬城 椿
キモいからやめろ!!!
久我 遥
久我 遥
あ、会話してくれた
冬城 椿
冬城 椿
っっっっ!!!!!
言い返せない。悔しい。ずるい。クラスで人気で、顔も良くて、頭も良くて、気遣いもできて、全部完璧。俺の欲しいもん全部持ってやがる。
冬城 椿
冬城 椿
……
久我 遥
久我 遥
……
久我 遥
久我 遥
…クラスどう?
冬城 椿
冬城 椿
っ、まあまあ。
久我 遥
久我 遥
そっか、でも三浦さんとまた一緒じゃん
冬城 椿
冬城 椿
去年同じクラスだったの知ってたんだ
久我 遥
久我 遥
もちろん、全部把握してるんだ
冬城 椿
冬城 椿
…変な奴だな
久我 遥
久我 遥
…褒め言葉かな?
冬城 椿
冬城 椿
ちげえよ
久我 遥
久我 遥
…来週テストだよ
冬城 椿
冬城 椿
っ、ああ、なんだっけ、学年開始テストだっけ。去年のやつ総復習のテスト
久我 遥
久我 遥
なんか名前面白くない?学年開始テストって
冬城 椿
冬城 椿
そうか?ってか、その名前聞いたらイラつくけど
冬城 椿
冬城 椿
「久我遥」って言葉もイラつく
久我 遥
久我 遥
あははっ、ひどいなぁ
冬城 椿
冬城 椿
…なんで笑ってんだよ
なんだかんだ会話してしまっている自分が嫌。うざい。隣がうざい。もうむり。うざい。たすけてへるぷ。
久我 遥
久我 遥
ふふ、で?テスト対策してる?
冬城 椿
冬城 椿
…国語は捨てた
久我 遥
久我 遥
苦手だもんね。とくに古文。
冬城 椿
冬城 椿
なんで知ってるんだよ……
久我 遥
久我 遥
もちろん、全部把握してるんだ
冬城 椿
冬城 椿
で、デジャヴ……
久我 遥
久我 遥
俺古文好きだよ
冬城 椿
冬城 椿
…すげえな
久我 遥
久我 遥
教えてあげようか?
冬城 椿
冬城 椿
自分でやる
久我 遥
久我 遥
そっか。
久我 遥
久我 遥
聞きたかったらいつでも連絡して
久我 遥
久我 遥
あ、LINE繋げてないじゃん
冬城 椿
冬城 椿
え?
久我 遥
久我 遥
繋げよ?
冬城 椿
冬城 椿
ぁ、え、
久我 遥
久我 遥
QRコード出して
冬城 椿
冬城 椿
……出し方わかんねえ…
久我 遥
久我 遥
っ、まじ?機械音痴なんだね
冬城 椿
冬城 椿
うるせえ…
久我 遥
久我 遥
LINE開いて、ここ押すんだよ──
久我が俺のスマホを少し動かし、QRコードの画面まで誘導してくれた。
冬城 椿
冬城 椿
あ、これか──
久我 遥
久我 遥
これ──
途端に、俺と久我が同じボタンに触れたせいで、指が少し触れた。
冬城 椿
冬城 椿
…………
久我 遥
久我 遥
……
久我 遥
久我 遥
っ、ごめん…
冬城 椿
冬城 椿
こっちこそ……//
少女漫画か???
冬城 椿
冬城 椿
ら、らいん、繋がった?
久我 遥
久我 遥
うん、繋がった
冬城 椿
冬城 椿
ぁ、よろしく……
久我 遥
久我 遥
スタンプ送っとくね
少しして、俺のスマホが軽く振動した。『遥』と書かれた男からのLINE。「遥がスタンプを送信しました」と出てきた。

猫が踊って、「よろしく〜〜〜」と言っている。久我にしては独特すぎるセンスだった。
冬城 椿
冬城 椿
ぶっ──
久我 遥
久我 遥
あ、笑われちゃった
冬城 椿
冬城 椿
だってっ、なんか──あははっ、!!
久我 遥
久我 遥
ふふっ、椿に笑われるならまあいっか。
冬城 椿
冬城 椿
なんだよそれっ、もう──
このとき初めて、俺は久我の前で笑った。
それが少し悔しくて、どうしようもなく居心地が良かった気がした。

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