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あなた…。
私が、引き留めていれば、あなたは…
火事のあと、私は優斗くんから連絡を受けた両親と兄に迎えに来てもらい、家へと戻った。その間、私はずっと泣いていた。お兄ちゃんは、そんな私の背中をさすってくれた。
別に慰めの言葉などかけてもらいたくなかった。罪悪感を余計に感じるのを恐れていたから。あの時、止めていたら、あなたがあんな目にあうこともなかったのかな。そんな思いが絶えることなく私の頭を駆け巡っていた。
そんな苦しい思いに縛られ、泣きじゃくりながら、私はいつの間にか眠りに落ちていた。
翌朝、目が覚めるとお兄ちゃんから、私のスマホが鳴っていたことを聞いた。暗い思いを抱えながら見てみると、そこには、優斗くんからの着信があった。私は、すぐさま、優斗くんにかけなおした。
私は、寝癖も整えないまま、病院へ向かった。
それが、どんなことを意味するのかは、考えたくもなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。