第66話

番外編 1話
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2025/06/22 10:00 更新
国見side




いつのことだったか、と言ってもそんなに前の話ではない。




1ヶ月経つか経たないかくらい前の話。




夏休み明け暫くしての出来事だった。








「まじであいつありえない!てか意味わかんないんだけどっ」



(……ほんとそれな)








スマホ片手に録音しながら心の中でそう毒づいて気付かれない程度にため息をつく。




ほんとだよ意味わかんねえよ。




たまたま飲み物買おうと思って外でたら及川さん告られてるし、しかもフってるし。




その後違うところ行ったら告ってた奴が友達と愚痴ってるし。




なんだよエンカウント率高すぎかよ。




でも知り合いがボロクソに言われているのは、聞いていて気分のいいものではなかった。




ああいうタイプは面倒くさい。




何かあったときのためにと思ってこっそり録音し始めたはいいが、長い長い。




おいお前ら俺のスマホの容量考えろよ。








及川「あれ?国見ちゃんじゃーん」



国見「ゲッ」



及川「『ゲッ』って言った?及川さん泣くよ?」








そしたらまさかの本人まで登場してしまうという展開に。




及川さんはのんびりとした声で近付いてきた。




角度的に見えないところだったから愚痴ってる奴らには気付かれてないだろうけど、なんとなくバツも悪くて俺はそこで録音をやめた。








及川「こんなとこで何してんの?」



国見「あー……その、ちょっと出辛くなって」








視線をあちらにやると及川さんは察したように苦笑した。




正確に言えば「及川さんを愚痴ってる人がいたから物的証拠に録音してました」なんだけど、そこまで言うのは変だし俺が嫌だ。




そんな事していたら例の先輩は「バレー部の中の誰かを彼氏にしたら、及川見返せると思うー?」なんて友達に言い始めた。




いや声の大きさ考えろよ。




そんな彼女達は俺と及川さんに勿論気付いていない。




なんとまあ残念だ。








及川「……さっきね、あの子に告白されたんだ」



国見「……そっすか(知ってるけど)」



及川「ごめんねって言ったら急に態度変わっちゃって。でも好きじゃないのに付き合うのはちょっとね……あそこまで言われると、もういっそ清々しいけど」



国見「……」



及川「ほんっと、恋愛って難しいよね」








何かを諦めたように及川さんは呟いた。




正直俺はそんなに恋愛経験豊富でもないし、付き合うだのそんな話は無縁だったから若干同意し難い部分もあったけど








『ほんっと、恋愛って難しいよね』








そこだけは、酷く共感できた。

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