そんな言葉が頭をよぎった…そっか…死んじゃえばいいんだ…死んじゃえば、みんなも気づかないだろうし、なんだったら嫌われてるだろうし…死んじゃえば、この病気も、この辛い今も、全て捨てることが出来る…家族なんて居ない、友達なんて呼べる人も"今はもう"いない…辛くなんかない…自分にそう言い聞かせて、まるで、ものすごく高い壁に張り付いてるみたい…みんなはどんどん上へと登っていくのに、私は張り付いてるだけ…何も出来ない…そう…こんな私だったらいらない…みんなにも酷いことして、嫌われて、何がしたかったんだっけ?どうやって生きたかったんだっけ?どうして、こんな目にあってるんだっけ?
私の頬を、1粒の雨が濡らした…
あれ?雨の雫だと思ってたのに、それは違った…
私の目からこぼれる雫だった…
私、なんで泣いてるの?なんで?悲しいことなんてない、辛いことなんてない、苦しくなんてない…世の中にはもっと苦しんでる人たちがいる…なのに、私は"こんなこと"で泣いてる…ダメ…泣いたら…ダメ…ダメなのに、どんどん止まらなくなる涙…そして、私の気持ちのように、荒い雨雲を連れて大雨が降ってくる…それと同じように、だんだん私の涙の雫も大きくなっていく…私ってらなんでこんなにダメなやつなんだろう…私は、何も出来ない…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。