第129話

まもる
1,062
2025/11/25 10:59 更新









私の小さいころの夢は、魔法使いだった。







???
お父さん!私おとなになったら、!
まほうつかいになる!



お、いいなー!
じゃあお父さんと魔法研究するか!





魔法使いを夢見る私の父は、医者だった。


???
今日はね!
お空を飛ぶまほう練習するの!
いいなー!お父さんも手伝っちゃうぞー!




そんな優しい父は、
私の夢を決して否定しなかった。

むしろ素敵な夢だ、
と魔法の練習に付き合ってくれていた。



何回練習したって。
魔法は習得できるはずもないのに。




なあ、まもる
お父さんと一緒に、
医者になってみないか?
でも、まもるはまほうつかいになって、色んな人を助けてあげるんだよ!
たくさん科学や理科を勉強をして、医者になれば、たくさんの人を救えるぞ!
えー...科学なんて嫌いだよ!
勉強したくないもーん!
ならせめて誰かが瀕死の時の応急処置の仕方だけでも...
やだったらやだ!
魔法使いになるの!
お父さんは優しい人だ。









でも時に、優しさは牙を向く。












早く私に現実を見ろ、と伝えてくれれば良かったのに。
そうすれば、あんなことにはならなかった。






私も.....もっといい将来があったかもしれなかった。
ま、後悔してももう何も戻ってこないんだけどね。





















....ッ、おとう、さん...ッ?!






「タキサイキア現象」







お前が....無事で...よかった、







人が危機的状況に陥った際、
周囲の出来事がゆっくり動いて見える現象。











やだ、おと、おとうさん、!泣


父の頭から流れ落ちる鮮血。
イカれた方向に曲がりきった四肢。

あの感触は、今にでも夢に出てきやがる。


モブ
?!おいそこに誰か倒れてるぞ!!



父が車に撥ねられたと私が認識した頃には、
父が後方へ飛ばされた数秒後だった。




きゅあー、...きゅあー...、泣



もちろん、こんな呪文を唱えても
父は生き返ったりしなかった。

ま、当たり前だよね笑



ちっちゃい頃の私は馬鹿だったなぁ。
あんなテレビ番組を律儀に信じ込んじゃってさ。
あ.....ぁ....
や、おと、...泣






小さい頃の私に耳元で叫んでやりたい。












モブ
君?!何してるんだい?!
退きなさい、!























魔法なんか存在しねえっつーの!!
んなもん存在してたらお医者サマなんていないわボケ。










モブ
ほら、タンクに乗せて....!
早く運ぶぞ、!早く!
モブ
はっ!







いや、いや.....ぁ.....泣







救急車に乗せられ、父が死んだあの日。
家族全員がお陀仏して、虚無だけが残ったあの日。











私は死にたくなるくらいに思い知ったね。







...魔法は...存在しないんだ...




そう、魔法は存在しない。



信じられるのは、科学と、己だけ。





その日からだっけ。
私は気がついたら科学者への道へ進んでいた。



あの時父の言う通り、医者の勉強をしていれば。
応急処置の手当を学んでいれば。





最初からかないっこない、
現実的じゃない夢を見ていなければ。






その後悔と負の思いだけが、
私を前へ、前へと進ませた。









研究員アルゴ
ま、ここで心が折れて、闇堕ちしないのが世紀の大天才、アルゴ様ってわけよ


研究員アルゴ
あそこから私は死ぬほど勉強したわけ!




研究員アルゴ
血が滲むなんて比じゃない。
血が沸くりかえって、...沸騰する程ね

研究員アルゴ
...まあ、君にはわからない、か...




研究員アルゴ
.....私は...お前に協力する為、に......努力してきたんじゃないんだよ....



























研究員アルゴ
ねえ....?首領.....?


















































首領
ナイフを刺されても尚、こんなに僕に手間取らせるとは...本当に腹立たしいね?



















首領の額には汗が。
そしてその手にはナイフが。


そして、そのナイフには、
私の血が。まあべっとりとへばりついている。







首領
アルゴ....その頑固さと意地の汚さは昔から健在みたいで、何よりだよ



研究員アルゴ
....は、は.....そりゃ、どーも...


首領
その出血量じゃ、
あと数分しか持たないね?


知ってるわクソアホ。
大天才様舐めんなよ。


首領
最後のチャンスだ、実験体1号アルゴ






首領
私と、また昔みたいに一緒に研究をしよう!!また、世界を支配するんだ!
世界を牛耳るためには、君の頭脳がやはり必要なんだ!
















研究員アルゴ
あれは黒歴史だ.....お前に...また、協力するつもりなんて...これぽっちもねえよ...



首領
そうかい....なら、




研究員アルゴ
あなたを利用するのか?笑




首領の眉間が狭まる。
明らかに動揺している。


研究員アルゴ
お前があなたのカンヒュたちから呼ばれる名前にどんな洗脳をふっかけたかは知らないけどね......






研究員アルゴ
嬢ちゃんはねぇ...要領がお前なんかよりよっぽどいいんだ...
今は.....お前よりもよっぽどマシな子達と一緒に過ごしているだろうね、


脳裏に、最後に話したあなたの姿が浮かぶ。

あんなに強面でいかにも殺し屋っぽかった顔つきも
段々と年相応の初々しさが出てきた。



.....嬢ちゃんはツンデレだから、直接私には言わなかったんだろうが。
「いい出会い」があったんだろうな。

そして、その出会いが嬢ちゃんを変えたんだ。





研究員アルゴ
私も、あなたも....もうお前の元には帰らねえよ....クソッタレ、!







嬢ちゃん、お前が見せてくれた最後の笑顔。
私はあれを見て安心したよ。




やっぱ、お前もまだ子供なんだな笑



環境に応じて、無理に強がってる、
ただの子供だ。



だから、嬢ちゃん。



首領
へえ....遺言はそれで最後かい?
研究員アルゴ
お前を殺すのはどんな武器でも.....毒でも.....私でも、兵器でもない......














世紀の大天才様から、の最後のアドバイス!
耳かっぽじってよく聞きやがれよ?
















研究員アルゴ
嬢ちゃんだよ......笑

















もっといっぱい笑うよーに!
今まで出会った全ての出会いを大事に!!




















首領
そうかい、じゃあ死んでくれ







幸せに、な!






研究員アルゴ
....へへ、
生憎私もそんな馬鹿じゃねえんだ
首領

負け惜しみならもうおそ、





研究員アルゴ
これなーんだ、?
ポケットからあるものを私は取り出す。
首領はそれがなにか認識すると、顔が青ざめる。




首領
まさかそれは、ッ!





研究員アルゴ
だいせいかーい笑





私が取り出したのは爆弾。
押せば、私と首領もろとも、施設全部がブッパされる。





研究員アルゴ
地獄の閻魔とも仲良くしろよ?笑






あ、あとついでに私の勇姿と素晴らしさを後世に語り継いで置いてくれよね?







研究員アルゴ
(後は任せたぞ...)








私のひと押しで。
施設全体が黒煙に呑まれ、


施設は爆発した。






主
お久しぶりですえさです
主
アルゴの過去編でした!
首領との関係もここで明らかになりましたね~
主
ぜひ考察とかもしてみて下さい笑
主
ではおつたけー!

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