黒side
昼下がりの日差しは、
どうしてこんなにも眠気を誘うのだろうか。
光を受けてきらきらと輝いている食器を、ぼんやり眺める。
さっきまでにぎやかだったリビングは、だいぶ静かだった。
ないこはソファで本を読んでおり、
まろはなにやら書いている。
りうらとほとけは…宿題か。
あー、俺もやらなあかんな。
軽く伸びをしてみるも、
あまり眠気はおさまらない。
ふと、壁際で初兎が小さくあくびをしているのが見えた。
ふわふわした声が返ってくる。
首がこくんと傾いた。
そっと手を取って、自分の部屋に向かう。
体をベッドにおろすと、
初兎は目を瞑った。
やがて、規則正しい寝息が聞こえてくる。
俺も目を閉じて、そのリズムに身を委ねた。
複数の笑い声が聞こえた。
リビング。
いつもの場所。
声がする方へと駆けていく。
そこに足を踏み入れた瞬間、
ぶつり、と景色が途切れた。
こちらを見つめる、虚ろな5つの瞳。
返事は、ない。
俺がただ突っ立っていると、
初兎が目の前に出てきた。
景色が、ひっくり返る———
勢いよく身体を起こした。
視界に広がる、見慣れた部屋。
そう呟いて、額に手を当ててみると、汗をかいていた。
心なしか、心臓が速く打っている。
…酷く、嫌悪のこもった声だった。
白い前髪を掬う。
すると、静まり返った部屋に、微かな音が混じった。
呼びかけてみるも、反応はない。
眉間にはしわが寄り、
小さな手に布団が握りしめられている。
手を握ると、
初兎は再び寝息を立て始めた。
俺のこの言葉の宛先は、いったい誰なのか。
怖かった。
いつか、夢の中みたいに、
拒絶される日が来るんじゃないかって。
…でも。
頭を撫でる。
次第に、俺の意識も、空気に飲み込まれて溶けていった。
今度は、いい夢見れるかな———












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。