水side
ドアが閉まる音が聞こえた。
カチャン、って音。
でも、それが僕の頭の中では
ラムネみたいにとけていって。
色鉛筆を動かす。
カリ、カリ、って音が、少し大きく聞こえる。
青い月の上に、薄い紫を重ねた。
隣で、小さな音が聞こえる。
なんだろう。
誰か呼んでる?
わかんない。
音が次々聞こえてくるけど、
すぐ消えちゃう。
ただ、カラフルな色鉛筆を紙の上にすべらせて———
顔をあげた時。
カタ、って鳴った小さな音が、
やけにはっきり聞こえた。
一気にみんながこっちを見る。
少しびっくりしたけど、いやじゃなかった。
ちょっとずつ、周りの景色が目に入ってくる。
テーブル中に置かれた色鉛筆と、6枚の紙。
真ん中に小さく描かれた青空とか。
かわいいうさぎの絵とか。
きれいな朝焼けとか。
…みんな、描いてたんだ。
なんだか心がぽかぽかした。
“みんなの声”が聞こえて、
“色鉛筆の音”がする。
時計を見ると、だいぶ時間が経っていた。
僕の、集中しすぎちゃうとこ。
声も聞こえないし、
やってることやめられない。
ちょっと疲れちゃうこともあるし。
…でも。
みんなの、楽しそうな声。
ちょっと下を向いて、自分の絵を見てみる。
いふくんが手を伸ばしてくれる。
手をつないで、
また、自分の絵を見つめた。
きれいだなって、
好きだなって、思った。
ほらね。
僕の中の集中力ってやつは、
いいところもたっくさんあるんだから。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。