第20話

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2026/03/15 00:41 更新
水side


ドアが閉まる音が聞こえた。
カチャン、って音。

でも、それが僕の頭の中では
ラムネみたいにとけていって。
……
色鉛筆を動かす。
カリ、カリ、って音が、少し大きく聞こえる。

青い月の上に、薄い紫を重ねた。
…いむくーん
隣で、小さな音が聞こえる。

なんだろう。
誰か呼んでる?
わかんない。
なあなあ、僕もここで描いててええかな?
ええと思うで
…ぁ、あのねっ、りうらも、絵、描きたくて…
音が次々聞こえてくるけど、
すぐ消えちゃう。

ただ、カラフルな色鉛筆を紙の上にすべらせて———
…できたっ…!
顔をあげた時。

カタ、って鳴った小さな音が、
やけにはっきり聞こえた。
ん!ほとけ、絵できたん?
!見せて見せてっ
…やるやん
やっぱ、きれい…
俺好きだなぁ、いむの絵
一気にみんながこっちを見る。
少しびっくりしたけど、いやじゃなかった。

ちょっとずつ、周りの景色が目に入ってくる。
テーブル中に置かれた色鉛筆と、6枚の紙。

真ん中に小さく描かれた青空とか。
かわいいうさぎの絵とか。
きれいな朝焼けとか。

…みんな、描いてたんだ。

なんだか心がぽかぽかした。
僕もできたでっ!
ぉ、うまいやん
…なんか、展覧会みたいやな
てんらんかい…?
絵並べて、見てもらうやつだよ
“みんなの声”が聞こえて、
“色鉛筆の音”がする。

時計を見ると、だいぶ時間が経っていた。

僕の、集中しすぎちゃうとこ。

声も聞こえないし、
やってることやめられない。
ちょっと疲れちゃうこともあるし。

…でも。
この絵、どっかに飾らん?
!やりたいっ!
じゃあ俺貼るもの持ってくる!
ぁ、りうらもっ…
みんなの、楽しそうな声。

ちょっと下を向いて、自分の絵を見てみる。
…ほら、ほとけも
いふくんが手を伸ばしてくれる。

手をつないで、
また、自分の絵を見つめた。

きれいだなって、
好きだなって、思った。
…ええよな、その絵
!…うんっ!
ほらね。

僕の中の集中力ってやつは、
いいところもたっくさんあるんだから。

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