いつも通り、従業員通路を通ってバイト先まで来る
今日はきっと夏休みが始まったから
中高生でショッピングモールが混み合うだろう。
この予想は的中。
やっぱり7人体制でも忙しかった。
帰り道。
毎年、夏になると思い出すことがある。
二宮と出会った日のことだ。
────── 11年前
二宮と出会ったのは小学校に上がる前、
幼稚園の頃だった。
幼い頃から人見知りで、いつも一人だった私は
1度も外に出ずに教室で過ごしていた
二宮のこともきっと知らなかったと思う。
夏休み前のある日。
トイレから戻ってくると、
余程暑かったのか、いじめっ子の 陽斗くんが
クーラーで涼んでいることに気付いた
1人も友達がいなかった私は当然、
陽斗くんとも仲良くなることは出来なかった。
外に行くまで待っていようと廊下に隠れていると、
いじめっ子、陽斗くんと目が合ってしまった。
怒った顔で私の目の前に立つと、思いきり胸を押してくる陽斗くん。
その拍子に転んだ私は怯えることしか出来なかった。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。