私は小さい時からずっと独りだった。
貴方なら大丈夫よ!
仍莎玖はしっかりしてるもんな!
仍莎玖なら大丈夫よ/大丈夫だ!
またこの夢か
何回見たか分からない夢が
脳にこびりついている
そう呟きながらジメジメとした外とは
裏腹にひんやりとした密室の中で支度をする
誰も居ない空間に
私はいつも挨拶をする
四季の中で
蝉が一生懸命に鳴いている季節
今日も人が群れている学び場に足を運ぶ
なんだか嫌な予感がする
突然
口の中から
赤いドロドロとした物が流れてきた
私はこのままではいけないと走った
走った走った
鍵を開け
トイレへ向かった
ボタボタ…
これは日常茶飯事
血を吐く現象は、色々と原因があるらしいが
私には全て当てはまらない
突発的に出てしまうようだ
この人は佐々木凛さん
よく声を掛けてくれる人
容姿が綺麗なので男女ともに人気だ
私は、自分の席に座った
こうなる事は分かっていたので
いつも校門が開く3時間前に家を出ている
そもそもの問題私の家から遠いので余裕を持って
登校している
さっきの佐々木さんだ
私は…あまり自分で言いたくないが
勉強は出来る方なので
佐々木さん問わず他の人もよく聞いてくる
授業が終わり掃除の時間
この人は鈴木さん
鈴木遥香さん
まただ
君が門限過ぎても
遊んでる所見たから言ってるんだよ
鈴木さんは名前と性格がものすごく違いすぎる
私はゴミを持ちごみ捨て場に向かった
遠くから声が聞こえる
この人は疾雰 陽くん
そしてこの人も男女問わず人気な人
疾雰くんとはよく一緒になる
びっくりしたような顔をした疾雰くん
…普段笑わないからな
表情筋が硬いのかな…?
疾雰は手を伸ばした
疾雰くんって…どストレートだよね
きっと心が綺麗なんだろうな…
疾雰くんとはたまに校門まで一緒に
帰ることがある私と疾雰くんの家は正反対なので右と左にわかれる
疾雰くんの背中が小さくなっていく
私はその背中が無くなるまで手を振った
無くなるまで手を振ったら
私は学校と言うなの場所を後にし自分の家へと足を踏み出した
吐血
私にとっては突発的に出るもの
授業中だって頑張って耐えた
…今日も鈴木さん…門限破ってるのかな
佐々木さん早退したからな…今日はあんまり喋れなかった…
私はそう悶々と考えながら
空がオレンジ色に染まった空を見上げ
少し朝とは違う夏の匂い
鼻を撫でられ少しくすぐったい
世界は…止まらない
きっとまた明日も同じ
… 𝗍𝗁𝖾 𝖾𝗇𝖽
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。