前の話
一覧へ
次の話

第10話

10話
41
2024/05/19 21:53 更新
雨林 美香
……
美香の母
さぁ信じなさい、神を信じれば皆救われます
雨林 美香
お母様、私は神なのですか?
美香の母
ええ、もちろん、あなたは神よ
小さい頃から神として育てられ崇められてきた
美香の母
あなたは神なの、人の心を癒す神様
美香の母
あぁ…!!あなたのこれからの幸せな未来が見えるわぁ!!
興奮しているお母様は話を聞かない
都合の悪いことを全て忘れてる
美香の母
あなたは神、神様、あなたは幸せ者よ美香、人々の淀んだ心や汚らわしい心を癒し、浄化するの
美香の母
そのために、あなたは我慢しなくては行けないの、人としての遊びを……ううん、あなたは元々神の子だから、そんなことに興味はないわ
勝手に人の人生、性格を作り上げられ、思い込まされた地獄の日々
美香の母
痛みなんて我慢できるわよね?あなたは神様なんだから美香?
雨林 美香
……
美香の母
返事をしなさい、美香
美香の母
あんたはいっつもそうよ!
美香の母
恵まれてるんだから、笑いなさい!幸せでしょう?なぜ微笑まないの!!あなたは幸せ者なのよ!!こんな幸福他の下等な家には無いわ!!
雨林 美香
……はい
雨林 美香
分かりました、お母様、私はとても幸せです
美香の母
そうよ、さすがね
情緒不安定な母にはうんざりしていた、父もいない、ここはお母さんと私と沢山の信者達で溢れかえってるのに、空っぽな教会。
雨林 美香
(信者……本当に私を崇拝するの……?)
雨林 美香
(みんなの夢を叶える神様は私?)
雨林 美香
(……神なんて居ないよ、私は何も出来ないよ)
雨林 美香
(吐きげがする、気持ち悪い)
情緒不安定な母親、うるさくて廃人のような目をしてワイワイとこちらに向かって祈りを捧げてくる光景
気持ち悪くて気持ち悪くて最悪な気分だ。
当たり前のように朝が来て、当たり前のように崇められる、風呂に入る時に勝手に目に入ってしまう背中には無数の傷がついている。
2ヶ月に1度、儀式がある。
神の高貴な血を永遠に流れる流れ星に例えられ、血を抜かれる、吊るし上げられ、背中に分からない言葉を聖剣で刻まれ、血を流される。
私はそれが大嫌いだ。
痛いのはもちろん、あの信仰の目、哀れむ目、空間、全てが気持ち悪くて嫌いだ。
そんなある日____。
家族が殺された。
私も殺されるかと思ったけど、死んでると思われてたみたい。
私は孤児院に入って過ごすことになった。
傷だらけの私と遊びたい子なんて誰もいなかった、孤児院でも1人……でも、あの頃に比べればマシに思えた。
ある日、1人で本を読んでいた。
内容なんて覚えていない、読むふりだから。
その時
木犀 瑠々
__何してるの?
雨林 美香
え……
腰まである長いふわふわとした髪の毛を揺らしながら首を傾げている女の子が目の前に立った。
瞳は澄んでいるはずなのに、暗く見える。
この子は……確か……
雨林 美香
誰だっけ?
木犀 瑠々
……え
雨林 美香
!!
まずいことを言ってしまったかもしれない。
雨林 美香
(どうしよう……謝らないと……)
雨林 美香
ご、ごめんな……
謝る声を重ねて、予想していた言葉より、明るく楽しそうな声が聞こえてきた。
木犀 瑠々
あははっ!!
雨林 美香
……へ?
木犀 瑠々
君、私のこと知らないんだ、変なのー
雨林 美香
そ、その……
木犀 瑠々
私は木犀 瑠々!!君は?
雨林 美香
雨林……美香……
木犀 瑠々
美香って言うんだ!よろしくね!
雨林 美香
よろしく……
施設の人
瑠々様!あなたはここへ居てはなりません!!
施設の人
戻りなさい!!
木犀 瑠々
……はい
雨林 美香
……!!あの、どうして……
施設の人
あなたは知らなかったのね、あのお方は神様なの、とても綺麗で美しい心を持った神様よ
雨林 美香
……!!
あの子も私と同じなんだ、神様って崇められて辛くて、友達もあまり作れやしない……私と同じ存在なのかな……。
木犀 瑠々……私と同じ思いはさせたくない……せめて、出来ることをして、解放してあげたい……!!
瑠々……ちょっとまっててね……。
木犀 瑠々
……へぇ、それで私と友達になったの?
雨林 美香
えぇ、私もあなたも似てるって思った時は嬉しかったし、救いたいって思ったのよ
雨林 美香
仮にも私はあなたより先に神様と崇められたからね
木犀 瑠々
ふふふっそうなんだ……!!
木犀 瑠々
私達似たもの同士で最高の友達なのかな?
雨林 美香
……きっと……そうよ
雨林 美香
もし……困ったことがあれば、いつでも助ける、約束よ
木犀 瑠々
美香が優しいなんて珍しい……
雨林 美香
ちょっと……!?
木犀 瑠々
えへへぇー!!なーんて!!ありがとう美香!!
木犀 瑠々
うん、約束ね!私も守れやすいように頑張る!
雨林 美香
そこは私も美香のこと守る!とか言いなさいよ
木犀 瑠々
あははっ……!!そうだねー!!
雨林 美香
ふふふふっ……!!
そうして笑いあった記憶が走馬灯のように頭に流れてくる。
目の前がクラクラして、体の感覚が遠くにいっている。
その中でもはっきりと、私は見ることが出来た……瑠々の顔を___。
雨林 美香
瑠々……。
雨林 美香
きっと……あなたは違う……からさ……。
雨林 美香
ちゃんと……私がこんな事までしてあげたんだから……逃げ切りなさいよ……。
雨林 美香
勇人も……ちゃんと瑠々には言葉で伝えないと……いつまで経っても……どうにもならないわよ……。
雨林 美香
茅も……もう少しは自分に自信を持って堂々と歩きなさいよ……。
雨林 美香
もう本当にヤダ……。
そうして、雨林 美香は肌の色が全身変色する前に……亡くなった。
雨林 美香
毒死

プリ小説オーディオドラマ