第5話

飴が五つ:気になるあの子の秘密−中編−
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2024/02/28 13:21
被害者
何……、云ってるんですかッ!?
被害者
私が罪人?
被害者は冷汗を大量に流し、顔を先程よりも比べ物にならない程、歪ませた。
あなた
……貴方は証拠を燃やして、証拠隠滅を図ろうとしました
あなた
ですが、被告人に見られ血に濡れた指先で触れました
あなた
貴方はそれを目印にしようとしましたが、それが裏目に出たんですよ
被害者
被害者
そッ、そんなの出鱈目だッ!
あなた
……判りました、出鱈目と思うのならこの証拠品にはどう説明を施しますか?
私が、スーツの胸ポケットから小さなジップロックに入った"布の切れ端"を出した。
あなた
この切れ端には被害者の血液、そして……、
あなた
"貴方のモノと99%一致した指紋"が検出されました
被害者
なッ……!
あなた
被告人の家周辺の塵捨場を探した所、服の入った塵袋が発見されたんです
あなた
被告人に許可を貰い調べた所、洗っても落ちなかった謎の"指紋型の染み"があったんです
被害者
そッ……、んな……
被害者
ッ……!
犯人は何か吹っ切れた様な笑顔を作ると、ポケットから小さなナイフを取り出す。
周りの記者達は顔面蒼白。
我先にと駆け出し、その場を離れていった。
あなた
……やめなさい
あなた
今やめたら罪は少しは軽くなります
被害者
糞女は黙ってろ!
被害者
お前が居なければ俺は彼奴を犯人に仕立て上げられたのに!
そう云いながら犯人は私にナイフを突き立てる。
私は余りの速さに避け切れないと目を瞑ると、何時になっても痛みが来なかった。
あなた
ッ……?
???
……君、大丈夫?
目を開けると、警察に取り押さえられた犯人が目に映る。
あなた
……何故、?
???
僕がこうなるって予測していたからね!
???
此処に来る前に、もう警察に通報しておいたんだよ!
私の前に立っている青年は、目を閉じたまま眼鏡を掛け、笑顔で私に説明した。
あなた
判っていた……?
???
"僕が世界一の名探偵"って云うのが理由なのと、
???
君の様に常人より遥かに頭が良い弁護士でも、"異能"には勝てないんだよ!
あなた
……!
"異能"
聞いた事はあった。
自分には関わる事のない世界だと思っていたが、そんな事はなかったらしい。
あなた
迷惑を掛けてしまい、済みませんでした
あなた
私はもう帰らせていただきます……
私が、踵を返し帰ろうとすると、不意に手首を掴まれる。
???
……今から君の母親の裁判なんだ
あなた
!?
あなた
私……の、?
???
僕はただ傍観として入るだけだけどね
あなた
あの、弁護人はッ!
青年は残念そうに目を伏せた。
???
誰がどう推理しようが、あれは君の母親が犯人なんだ
???
弁護人の方も御手上げ状態
???
残念だったね
あなた
ッ!
あなた
私が、弁護人にッ!
手を強く握りながら決心した様に、云ったが青年は首を横に振った。
???
君が弁護しようと有罪という結果は変わらない
???
君の評判が落ちて、其れで終わりだ
あなた
其れでもッ……
あなた
唯一の家族なんですッ……
青年は深く溜息を吐くと、私に顔を凄い勢いで近付け、怒った様に云った。
???
"敵無しの弁護士"君、犯人に慈悲を掛けるな
???
そして、正義や善を汚すな
皆、青年が誰か判ったよね!?
また次回

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