第6話

飴が六つ:気になるあの子の秘密−後編−
1,055
2024/04/14 01:46
あなた
……貴方に何が判るんですかッ!
久し振りに声を荒らげた気がする。
???
五月蝿いな〜!
青年は嫌そうに両耳を塞ぐと、急に真面目な顔で私に語り掛けてきた。
???
別に君を絶対に引き止めないといけないっていう理由は僕に無いんだよ
あなた
ならッ!
???
でも……、
???
困っている人に手を差し伸べるのが、"武装探偵社"の業務だからね!
私は呆気にとられた様に、口を開く。
あなた
は?
あなた
武装……、探偵社……?
???
そうだよ!
???
まあ、君には関係ないけどね!
急に青年が私の手首を掴むと何処かに私を連れて行こうと引っ張る。
あなた
離して!
???
来て
青年の低い声に思わず黙ってしまった。
私はやってない!
裁判官
静粛に
丁度その場に着けば、私の母が警察の手によって連行される所だった。
あなた
お母さん……
廊下ですれ違う時に、ふと目が合う。
あなたの下の名前!
私が無罪だって事証明して!
あなたの下の名前になら出来るでしょう?
あなた
あぁ、ご、ごめん……、
あなた
でも、弁護士だって証拠品が無いとッ……
私は冷汗が全身から流れ出した。
あなたの下の名前もお母さんの事を疑うの!?
あなた
チガッ……
お母さんは警察の腕を振り払うと、私に手を上げる。
アンタなんか産むんじゃなかった!!
あなた
ヒュッ……
喉から音のない悲鳴が出た。
叩かれる
???
一寸、痛いんだけど?
あなた
青年の白い頬には、確りと、打たれた跡が残っている。
アンタは!?
???
ていうかさ、さっきから話を聞いてれば君、頭悪すぎでしょ(笑)
なッ!
お母さんは分が悪くなったのか、黙り込んだ。
???
どう考えても君が悪いのに、何で子供のせいにされる訳?
???
其れに、弁護士は……、
???
あなたの下の名前は何でも出来るスーパーマンなんかじゃないし、君のマリオネットでもないんだよ
……もういい……、あなたの下の名前
アンタなんか、早く死ねばいいのに……
お母さんはその一言を吐き捨てると、大人しく警察に連行されていった。
あなた
……、知ってた
あなた
知ってたよ……
私は両手で顔を覆いながら、座り込んだ。
???
……僕はもう行くよ
あなた
待って!
私は涙を強引に拭うと、青年を引き止めた。
あなた
頬は……!
???
ああ、此の位なんて事ないよ
???
過去に此れより強く打たれた事があったからね
あなた
そう、なんですか……
???
要件は其れだけ?
青年は私から目線を反らし、反対側へと歩き出す。
あなた
違う!
あなた
最後に一つだけ!
あなた
名前をッ!
???
…………、
???
……今回は特別に教えてあげる!
???
一回しか言わないから覚えておいてね!
男性は人差し指を真っ直ぐに立て、振り向きながら、無邪気な笑顔で云った。
???
世界一の名探偵!
江戸川乱歩
江戸川乱歩!
最近、財布が軽いんすよ。
また次回

プリ小説オーディオドラマ