風もなく、静かな夜。
あんたなんか出て行ってよ!!!
要らないんだよ!!!使えないゴミ屑が!!!
俺は家から、抜け出した。
その日は5年に一度、妖の世界と人間の世界が繋がる、満月の日だった。
はぁっ…はぁっ…!
無我夢中で走り続けた。
とにかく家から離れるために。
…気づいたら目の前には森があった。
後ろはビルなどが建っていて、賑やかだが俺の目に映る森は霧が濃く、
満月が眩しいくらい光っていた。
まるで誘われているかのように。
気がついたら、その不思議な雰囲気が漂う場所に足を踏み入れていた。
すると,辺りが全て森になって、異世界に来たかのように静かになった。
っ…?ど、どういう事…?
お主、こんなところで何しておる。
…!!(ビクッ)
まさか、人間か?
……。
怖い。姿が見えないのに、声だけが聞こえてる。
辺りは静かな森。今にでも何かが飛び出してきそうな雰囲気だ。
最近は増えてきておる…人の子が足を踏み入れるのが。
まぁ良い。別に害が出るわけではないか。人の子よ。こちらへ来い。
…まず、誰なんですか…?
そんなビビらくても良いだろう?
…ほう。見た感じお主、9歳ぐらいか?
…知らない人に個人情報は言えません…!
なかなかしっかりしておるな。本当に小学3年生なんだか…
我の名はシルク。サラマンダーと狼の妖だ。
ハーフ…なの?聞いたことないけどな…
お主、我が怖いのであろう。人間界では妖が化け物とされているからの。
他の妖は人を喰うが、我らは違う。むしろ、人間と仲良くなりたいと思っている方。
だから、我についてこい。
…………。
こんなところにおったら喰われてしまうぞ?
…わかった。
お主の名は?
モトキです。
良い名だな。ここから先は霧が濃い。我から離れるなよ。
うん…。
心配だった。
けど一人で森の中を彷徨うより,この人…?について行った方がいいと思った。
ここじゃ。
ん…?
なにも…ないけど。
シルク?って言う人は指を指した。
でも、目の前には何もない。少しひらけた場所があるだけだ。
…見ておれ。
…(ペタッ…)
シルクさんは手をかざした。
すると扉が出てきた。
え!?
ふふふwすごいじゃろ?
他の妖に見つからんよう、隠しておるのじゃ。
へー!!すごいすごい!
微笑ましいのぉ…何年振りじゃろか…子供の笑顔は。
さぁ入った入った!身体が冷えておるだろう?中に入ってゆっくりしてけ。
はーい!!ありがとうシルクお兄さん!!
久しいな…その呼び名で呼ばれるのは。100年前くらいじゃなぁ…。
…お、おじゃましまーす…。
どうした?モトキ。さっきまでの元気はどこいったんじゃ?
今思えば知らない人の家いや、人じゃない生物の家に入るとか、普通に考えたら怖っ!!
おかえり〜!!!!
腹減っだぁー!!!!
うるせーなぁ…
…いつもと違う匂いだぞ。
す、すげぇ…!!!
本物の尻尾だ!!それに耳もっ!!
…!?待て。…なんで人を連れてきてるんだ。シルク。
そんな恐れなくてもよい。モトキは確かに人だが、俺らに恨みを持つ者ではない。
妖の皆さんからしても、人間って怖いんですね…
だ,大丈夫です!!すぐ出て行くんで…!
…?何を言っておるのだモトキ。今日からお主は我の家族じゃぞ?
え、え…?
…しょうがない。迎え入れるしかなさそうだ。
じゃあダホ、飯作ってくれ〜!久しい訪問者だ!!豪華に頼む!!
任せとけぇ!!
チッ…人間なんて連れてきやがって。めんどくせぇことすんなよ。
毎回ダーマはそんなことを言うが、本当は嬉しいのじゃろう?お見通しじゃぞ。
うっせー!!黙ってろ!!
…!(ビクッ)
ほら、モトキも怖がっておる。少しは静かにしてくれ。
人間って弱えーよな。ちょっとしたことで怪我するし、ちょっとした事でビビる。
モトキ。まだ会ったばかりだから怖いよな。軽く説明しておく。
…。
まず、あのネチネチ蛇みたいな奴はダーマ。ツンデレで口が悪いが、根はいい奴だ。
だ,ダーマさん…。
…。
次。あの尻尾が生えてる奴はザカオ。普段は冷静だがすごくビビりだ。それにバカだ。
ザカオさん…。ちょっと怖いな…。
大丈夫じゃ。すぐ慣れるであろう。
…。
じゃあ次じゃ。あの耳が生えておる奴はンダホ。料理ができて優しい性格じゃ。困った時は奴に相談するとよいぞ。
ンダホさん!なんかお兄さんオーラがすごいね!
まさにその通りじゃ。ンダホはみんなの世話担当じゃからな。
…。
次。あの角のが生えている奴はマサイだ。喋り方がよく変わる、二重人格みたいな男じゃ。
彼奴はずば抜けてバカな奴じゃ。まぁ天然。だな。
マサイさん!カッコよくて立派な角が生えてるのに、そんなにギャップが激しいんだ!
そうじゃな。マサイはクールな雰囲気じゃが、実際に喋ってみると印象がだいぶ変わると思うぞ。
へー!みなさんこれからよろしくお願いします!!
うぃ…
よろしくねー!!モトキ君!
…。
よろー…。
耳が生えてるとかそういうことに関しては、後で説明する。今は飯じゃ!!
わーい!!
本当にこの人たちに拾われて良かったなって思ってる。
俺はあの時ついていかなかったら、どうなってたんだろうか。
まぁ、昔の話か。
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