というところで俺は手を止めた。
深いため息をついて、この物語の終わりを書き終えたのだ。
そんな独り言を呟いて原稿をまとめて早速、編集社へ向かう準備をした。
もうここまできたらお気づきだろう?
俺はこの物語に出てきた「神」だ。
そしてこの物語は俺が書いているんだ。
まぁ最後は俺が時間旅行した代償の犠牲者になったけど。
あの後、俺はまたあの崖で目を覚ました。
あれ?代償、払えきれていなかったかな?なんて最初は思ったけど、違った。
俺は人間になれたんだ。
あの代償は「神としての」俺が消された。
そして、俺は神の気まぐれで人間になったんだ。
全く、どんだけ気まぐれな神様なんだって思うけど、感謝はしてる。
人間になった今、俺は神だった頃の体験を小説に書いている。
きっと、神様視点の小説なんて、売れるに違いない!って思ったから。
でも、その予想は裏返って売れていない小説家だけど、きっと希望はあるだろう。なんせ、俺は元神様なんだから。
小説家になった理由はもう1つある。
救ったアイツにまた会いたいから。
ここまで読んでくれた「アイツ」が誰だか君たちならわかるだろ?
ぷりっつなのかりゅうきなのかよくわからんが、とりあえず俺はアイツにまた会いたい。
俺はしぶとくて、決めたことは守る奴だ。
もう一度、救ったアイツらに会いたい。
そう思って人間界もまた生きて来た。
編集社の人は太鼓判を押してくれたが、結末には納得がいかないようだ。
そんな編集社の人に俺は言う。
俺の中でこの物語はハッピーエンドだ。
今は会えなくともいつかはアイツらと会える気がしたんだ。
その言葉に俺は笑った。
生き物にはいつしか別れが来る。
きっと俺達は出会ってもまた別れるのだろう。
しっかりと「サヨナラ」を告げて。
でも俺にその時はまだ来ていない、今じゃない。
いつかなんてわからない。
それで良いんだ。
俺はもう神様じゃないから、何もわからないまま俺も生きていく。
今まで君たちがそう、してきたように。
彼らがこの先ずっと幸せで生きていることを、
俺達がまた出会えることを願って。
サヨナラはまだ言わない end











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。