仕事終わり、またあのバーへ行こうかどうしようか考えながら街を歩いていると、足に何かがぶつかったような違和感があった
確認すると、足元には大きなオレンジが1つ。どこから転がってきたのかと思い顔を上げようとすると、どこからか男性の大きな声が聞こえてきた
男性「おねーさーん!!!台車ぁー!!あぶなーい!!」
その声に驚いて坂の上を見ると、まるで漫画のように転がり落ちる大量のオレンジと、坂道で制御を失った大量のダンボールが乗せられた台車がこっちにまっすぐ走ってきていた。
私もさすがに馬鹿じゃないので避けるべきだということはわかる。でも自分が避ければまた台車は下にいる人に向かって走っていく危険もある。それなら私が...
「いったた...」
止めた時の衝撃で尻もちをついたり摩擦で手が切れたりと散々だが、なんとか台車を止めることができたことに安堵のため息をこぼす
男性「お姉さん!大丈夫!?」
「あぁ、はい、なんとか、笑」
男性「すごいダイナミックだったねぇ笑 かっこよかった!」
「ありがとうございます、いたっ、」
男性「わ!手傷だらけじゃん!この近く俺の知り合いの店あるからさ、そこで手当てしてあげる」
「そんな、申し訳ないですよ!」
男性「いーの。元々俺がおじいさんが台車から手放しちゃうのを止められなかったのが悪いんだし!」
「すみません、ありがとうございます」
最初は遠慮したものの、さっきの衝撃で体が限界なのは自分でもわかるので今回は甘えさせてもらうことにした
慎太郎「おれ、森本慎太郎!お姉さんの名前は?」
「あなたです」
慎太郎「あなた、ね、なんかどっかで聞いたことある気がすんなぁ、」
「そうなんですか?」
慎太郎「うーん、まぁ覚えてないってことは別に大切なことじゃないっしょ!とりあえず店へ急ごう!ほら、乗って」
「ん?乗る?」
慎太郎さんは戸惑う私とは裏腹に、さも当たり前かのように少し屈んで背中を叩いて乗るようにせかす
なぜか私もそこまで堂々としているのを見るとなんの抵抗もせずに背中に乗ってしまった
軽々とおんぶされ、小走りで慎太郎さんは目的地へとぐんぐん進んでいく。これが不審者とかなら絶対にダメだろうけど、慎太郎さんからは不思議とほんわかとした良い雰囲気しか感じられなかった
慎太郎「さっ!ついたよー」
「ありがとう、ございます、?」
慎太郎さんに連れてこられたそこは、もう何度も訪れているうちに見慣れてしまった、派手なネオンの看板が置かれたBAR SIXだった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。