北斗「店長!終わった!!」
優吾「あーあ、せっかくあなたちゃんと楽しくお話してたのになぁ」
北斗「いーから。そもそもあなたちゃんは俺に会いに来てくれたんだし」
「あはは...」
少し気まずい空気の中笑って誤魔化す。結局優吾さんは諦めて、荷物をまとめて扉へ向かった
優吾「仕方ないから気を使ってあげるけど、俺の店で変なことしないでよ」
北斗「しないわ!」
優吾「そぉ?じゃ、またねあなたちゃん」
優吾さんは私ににっこりと微笑んで店を出ていった
ドアが閉まると、なぜかしばらく沈黙が続く。さっきまで3人だった空間に突然2人きりとなるとさすがに緊張する
「あの、」
なんとかその重たい空気の中口を開くと、北斗さんは優しい目でこちらを見つめる
「今日は、なんで呼んでくださったんですか?」
私の質問に驚いて目を見開く北斗さんを見て、直球すぎたかなと少し反省する。でも彼はすぐにまたふっと優しい顔をして、ゆっくり手を引いて私をカウンター席に座らせた。
北斗「そんなの、会いたかったからに決まってるじゃないですか」
「えっ」
北斗「俺、結構分かりやすくしたつもりなんですけど」
少し呆れたような顔で笑う北斗さん。でも私は、何の話をしているのかさっぱり理解できなかった
北斗「まず、興味ない人に連絡先なんて渡さないでしょ?」
「それが、この店の売り方なのかと、」
北斗「そんな不純な店じゃないよ笑」
「あっ、ごめんなさい私失礼なことをっ」
北斗「いいよ。その不純なことをしたのは俺だし」
もうお店を閉めてあるからか、前に来た時よりもついている電気の数が少なく、北斗さんの顔だけがはっきりとわかる。
その表情はとても柔らかく、嘘をついている人の顔には見えなかった
「あの、でもわたし、」
北斗「もちろん俺も、失恋したばかりの子に付き合ってほしいなんてすぐには言わない」
北斗「だからさ、気持ちが俺だけに完全に向いてくれるまで頑張るから、まずは俺とお友達になってくれますか?」
「...はい」
窓や鏡で反射した光が照らす彼の顔は何よりも美しく、私が今まで生きてきた人生なんかとは比べ物にならない楽しい時間をくれるような気がした












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。