【るぅとSIDE】
莉犬から受けっとぬいぐるみを持って、全力で走る。
後ろからは、椅子や机が倒れる音、ガラスが割れる音がずっと響いている。
莉犬が食い止めてくれてるうちに、早く遠くへ____!!
その時、赤い人が廊下の奥から全速力で走って来ているのが見えた。
ジェルくんが戦闘態勢になる。
小走りしながらぬいぐるみの足を持って、思いっきり引っ張る。
胴体と頭が引きちぎれた。
頭の方から、髪の毛が見える。
振り返る。
赤い人に馬乗りにされた、血塗れのジェルくんが横たわっていた。
なーくんに背中をつき飛ばされて走り出す。
後ろから聞こえるのは、地獄のような音。
振り返りたくない…振り返れなかった。
走る、走る、走る。
ゴールは…さとみくんは、どこ?
僕を呼ぶ声が聞こえた。
よかった、あそこだ。
後ろを見なくても、赤い人がすぐそこに迫ってきていることは分かった。
あと数秒もしないうちに、僕は殺される。
その前に、この頭だけは…!!!
僕が頭を投げると同時に、猛烈な痛みが全身に走った。
肩を掴まれる。
そのまま、地面に押し付けられる。
赤い人が、腕を大きく振りかぶった。
赤が、僕の身体から飛び散った、気がした。
【さとみSIDE】
頭をぬいぐるみの中から引っ張り出そうとする。
けど、どっかがつっかかってるのか全然外れる気配がない。
ダメだこれ、破くか。
…走りながらだから手元が安定しない。
もうるぅとは殺されただろうから、次は俺の番だ。
若干キレたせいか、人形の頭の部分の布が破れた。
人間の頭…あの女子生徒の頭が転がり落ちた。
どこを掴んだらいいのか分からなくて、とりあえず髪の毛を鷲掴みにする。
1階にいるころんに声をかける。
俺は髪の毛を思いっきり引っ張りながら、1階へ投げ落とした。
それと同時に、蹴りも食らう。
身体が吹っ飛んで、壁に思いっきり打ち付けられた。
視界がぐわんぐわん揺れる。
脳震盪、か?
後頭部ぶつけちゃったから。
赤い人が笑って、そして1階を見つめる。
…ダメだ、そっちは…!!
…やばい、肋骨何本か折れたかもしれない。
身体中に激痛が走って、血が垂れる。
…いや、俺ならまだやれる。
折角ここまで繋いだんだ。無駄にする訳にはいかない。
赤い人は、俺が動けない…ほっといたら死ぬと判断したのか、次の獲物___ころんへとタゲチェンした。
俺の前から居なくなる。
早く…お願いだ、ころん。
頭を…頭を入れてくれ…!!!











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。