side:佐藤
今日はアオハルの振り確認の日で 。
終わってから西畑と飯食いに行こうしたんやけど
部屋に練習着忘れたバカですどうも ( )
それで取りに戻ってきたねんけど
誰もいないはずのレッスン室に
なぜかスパイクの音がなっとった 。
そこにいたのは 、鏡と向き合ってる道枝やった 。
『 … なーんしてんのっ!』
道枝「 うわっ 、ビッ 、クリした … 」
『 にひひ 、居残り練習?』
道枝「 はい 、まあ 」
『 え 、英単語見ながらやってるん?!
うわ勉強熱心な子好きやで〜???』
道枝「 テスト近いんですけど
覚えられないんですよ 」
『 いやそらな 。2ついっぺんは無理やわ 。
どっちか時間決めてやればええのに 笑
まだ4時やし時間たっぷりあるやんか〜 』
道枝「 … 時間なんか 、ないですよ 」
『 … え?』
道枝「 いやっ 、なんでもないです!
あなたちゃんは忘れ物取りに来たんですか?」
『 あー 、うん 、』
道枝「 そうなんですか 、気をつけて
帰ってくださいね?お疲れ様でした!」
ニコッって私に笑いかけて
また鏡に向き直す道枝 。
… 絶対頑張りすぎてるんやろな 、。
学生のうちはグレるのが大半やったのに … 笑 ←
ここは先輩が元気付けてやりますか!( )
『 … 道枝ーーー 』
道枝「 え?まだ帰ってなかったんですか 、」
『 え 、いちゃ悪い?』
道枝「 あ 、いや 、そんなことないんですけど 」
『 … 何が心配なん?』
道枝「 … はい?」
『 何が心配でそんなに踊ってるん?
もう完璧やん 。本番間違えるのが怖いん?』
道枝「 、、、」
『 なんでそんなに頑張ってんの 』
道枝「 … あなたちゃんには関係ないです 」
『 … ふーん 、あっそう 』
道枝「 ……… 」
『 守屋周斗?』
道枝「 ! 」
『 … 守屋も辞めたな 』
道枝「 … 辞めてません 、まだいます 」
『 ……… 道枝 』
道枝「 もりしゅーはいます 」
『 もうおらんよ 』
道枝「 だってまた一緒に踊るって 、!!!」
道枝は目にいっぱい涙を溜めて私を睨んだ 。
あぁ 、ほんま昔の私みたいや 。
仲間が消えるってのは頑張りを失うことやし 、
それが原因で腐る奴もたくさん見てきた 。
だからこそ 、道枝を助けたい 。
私がみんなに支えられてきたのと同じように 、
今度は私が道枝を支える番なんや 。
私はぎゅっと強く 、道枝を抱きしめた 。
『 大丈夫 、大丈夫やで 』
道枝「 っ 、、、泣 」
『 永遠のさよならじゃないねん 。
最後会った時守屋になんて言われた?』
道枝「 … また 、な 、って 、、ズズッ 泣 」
『 … 守屋らしいやん 。
またな 、は"また会おうな"やろ?
ずっと守屋は道枝の頑張り見てんで 。
"また会ったら一緒に踊ろうな"って
意味も込めてるんとちゃう?笑 』
道枝「 ふぅっ 、、、泣 (ぎゅぅ)」
『 大丈夫大丈夫 、またすぐに会えるで 』
そう言って道枝の頭を撫でた 。
過酷な戦場だからこそ残れるものは限られてるし
残れないものはすぐに脱落してしまう 。
そんな脱落者を何人も見てきたからこそ
次は自分かもしれないって怖くなるんや 。
自分の恐怖も紛らわすように
「 大丈夫 」そう呟いた 。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。