渡辺 side
ずっと待ち望んでいた最終審査の日。
俺の目的は涼太を見つけて第一候補に書くこと。
それしか求めてないから、今日はふっかとか佐久間みたいに騒がないで大人しくしとくんだ。
ラウには心配されたけど。
最初の500人分は女性で、次の500人は男性の分。
俺が見たいのは男性のとこだけだけど、一応どんなもんかと女性の方もちゃんと見た。
まあ確かに美人が揃ってたけど、涼太には敵わないな。
俺がこの前涼太の妹に見せてもらった写真、超絶イケメンで美人だったもん。
ラウがみんなに声をかけてくれて、寝てためめこじとか違うことをしてた佐久間がハッとしてる。
みんな男性の方は興味があるらしくて、ちゃんと見るみたい。
確かに、俺たちと遊んできた子ってみんな女の子だったもんね。気になるのか。
まあ俺は涼太だけですけど!!
そろそろ男性たちの動画も終盤に入ってきた。
…未だに涼太が来ていない…もしかして第一審査で落ちたの…?いやまさか、涼太に限ってそんなこと…
でも顔のタイプとかって人によるもんな…分からないよなぁ…涼太…
そんなことを思って、もう諦めるかと伏せようとしたとき。
宮舘涼太?今宮舘涼太って言ったよね??
俺の耳には確かにそう聞こえたんだけど!
ちゃんと声の主を確認するために動画を見たら、そこには写真と同じ男が映っていた。
やばい、俺の目の前に…いや目の前じゃなくてただの映像なんだけど。
ずっと待ち望んでた涼太がいる…!心臓バクバクする…
得意なことが料理ってもう俺のために毎朝作ってもらうしかなくね?
まだ再会したわけじゃないのに、もう涼太との新婚生活が頭に浮かぶ。
わー、めっちゃ感動。…って、早くプリントに書かなきゃ。
俺は自分の心臓を抑えながら第一候補に宮舘涼太と書き綴った。
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そんな会話を横目に、俺は目を擦りながら頭の中は涼太のことでいっぱいだった。
早く会いたいなぁ…俺が第一候補に書いたから、一緒に番組出れる可能性は莫大に上がったよなぁ…
普通それこんなに聞くかよ。
やっぱコイツらってあんまりデリカシーないよな、俺が言えることじゃないけど。
待て待て待て待て。ちょっと理解が追いつかないんだけど。
え、照も康二も涼太を第一候補にしたの?
嬉しいような…嫌な感じがするような。
涼太と結ばれるのは俺だけでいいんだけど、第一候補にしてくれれば番組に出れる確率は上がるし…
ここで俺も涼太の名前を出したら面倒臭いことになるかもしれない。
そんなことを思ってはぐらかした。
…あれ、そういえば涼太の妹たちの動画見てないような気が…
見逃しちゃったのかな、まぁいっか。
実は全員が第一候補に涼太の名前を書いていたというのは、もっと後になってから分かったことだ。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。