仕事が終わると、僕はすぐに恭平のところへ行く。
けれど声をかけようとしたタイミングで恭平が楽屋から出ていってしまった。
慌てて廊下に出て追いかけると、「道枝さん」と誰かに声をかけられた。
マネージャーに声をかけられた。
目の前に差し出されたのは、ファッション雑誌やった。
長尾のファッション雑誌を受け取って、視線を上げると廊下の隅の方で恭平が立っているのが見えた。
僕はすぐに楽屋に戻って長尾に雑誌を渡しに言った。
結局その日、恭平とは話をできなかった。
そして、明日、また明日と話しかけるタイミングを逃してしまい、日が経つにつれて話しかけにくくなっていく。
長尾も、大橋くんも、丈くんも、恭平にどんな顔をすればいいのかわからず、僕達と常に一緒にいた。
恭平に話しかける人はいなくなり、完全にグループで孤立してしまった。
グループ間に亀裂が入った僕達だが、テレビやYouTubeの前では仲良し"7人"グループを演じる。
大吾くんも、上手いぐらいに恭平に話をふる。
恭平もそれをうまく返す。
メンバーみんなが笑顔でその場を和ませる。
僕も頑張って笑顔を作る。
今のところ、僕達の演技が上手いのか、ファンの皆は気づいていない。
一番怖いのは、ファンの皆に仲が悪いというのを気づかれてしまうこと。
このことは、絶対にバレてはいけない。
流星くんのスマホを覗き込みながら、僕は頷く。
笑顔を貼り付けながら、胃の辺りに得体の知れない黒い影が蠢いているような不快感を覚えていた。
話をしていても心がどこかに置いてきぼりで、以前のように仕事を楽しめへん。
自然と視線が楽屋で1人ぼっちでいる恭平に向いてまう。
大吾くんも時折、恭平がいる方向へ視線が行っているのがわかる。
気にしていないように振る舞っているけど、本心では完全に遮断することができひんのかもしれへん。
僕達の日常は些細なことで変化してまう。
当たり前のように一緒に居たはずやのに、今ではまるで知らない人みたいや。
こんなのやめませんか。
せめてもう一度恭平と話をしませんか。
そう言いたいのに、僕は言葉に出せない。
僕、大吾くんのことが好きやのに時々怖い。
恭平の近くを通り過ぎる時、どうして舌打ちをしたり、睨んだりするんすか?
流星くんやって、なんで便乗して聞こえるように悪口言ってるんすか?
なにもされていないはずやのに、流星くんはいつだって大吾くんの肩を持つ。
流星くんの本当の気持ちが知りたい。
恭平と2人で時々一緒に遊んでいたほど、仲が良かったはずやのに。
だけど、僕も、いつも本音を口にできひん。
誤魔化すように笑って、見て見ぬふりをしている。
自分を守るために、僕は誰かを傷つけている。
わかっているのに、声を上げることができなかった。
作者です😊
今更ですが、登場人物紹介をしたいと思います。
はい、一旦こんな感じです。
(さらにややこしく感じてしまったら申し訳ないです。💦💦💦)
これからのメンバー間はどうなってしまうのでしょうか、元通りの関係に戻ることができるのでしょうか?
次回もお楽しみに😊
最後まで読んで頂き有難う御座いました。🙇












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!