自動販売機の前に着くと、長尾もちょうど飲み物を買っているところやった。
僕に気づくと、長尾は『少し話さへん?』と声をかけてきた。
僕はお茶のペットボトルを購入してから、廊下の隅の方で待っていた長尾の隣に立つ。
声がいつもよりも硬い気がして、身構えてまう。
彼もメンバーやから、理由がなにかはわかっているはずや。
でも、彼は自分から理由の詳細を話そうとしなかった。
でも結局流されて、恭平を1人にするような状況になっている。
この件の主犯はメンバーなはずやのに、そのメンバーのことを恐れるなんて、自分が弱くて腹立たしい。
でも、恭平達の件で溜め込んでいた思いを口にするんは、初めてやった。
言葉にすることで、自分の中にある感情の形が見えてくる。
話を切り出すことは怖いし、できれば平穏に過ごしたい。
話してもお互いが納得する結果にならへんくて、以前のように一緒には居られなくなる可能性だってある。
けれど気まずい思いを抱えながら何もせずにいたら、いずれ後悔をすることになるかもしれへん。
最悪、脱退という形になるかもしれへん。
お礼を言うと、長尾が安堵したように柔らかく微笑んだ。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。