太宰が部屋を後にすると、そこには那津と森だけが残された
扉を見詰めながら、森は那津に問い掛ける
森がそう言うと、那津は口元を少し歪めた
そうして、扉からゆっくり視線を外し...
何かを言いかけた所で思い留まり。
せめてもと、那津は絞り出すように呟いた
那津の言葉を聞いた所で、森は視線を彼へ移した
そう言うと、那津は森の前へ足を進め、懐を漁り一枚の紙を取り出した
ヒラヒラと揺らされている書類に森が手を伸ばすと、那津は其れを床にばら撒いた
語尾に音符が着くような弾んだ声でそう言うと、那津はクルッと扉の方に向かう
🚪<キィィィ...
🚪<パタンッ
那津が去った後、森はシクシクと書類を拾い集めたのだった
翌日、擂鉢街にて...
広津の説明に、太宰は何処か他人事の様に相槌を打つ
其れもその筈。太宰は本、しかも”完全自殺読本”と言う、
一部にしか需要の無さそうな本を読みながら、広津の話を聞いていたのだから。
一見すれば本を読んでる様にしか見えないが、
これでも確り片手間に調査は進めていたのである。
太宰の質問に、広津は言葉を選びながら答えた
那津からの御願い受けた太宰は、”銀の託宣”を用い、広津に同行を求めた。
広津自身は太宰の事を訝しんで居たのだが、首領命令と同等と強制力のある銀の託宣を使われ、
更には信頼を置いている那津も同行すると聞き、了承したのだ
軽々しく名を呼ぶ太宰に広津は眉を潜め、太宰は那津の現状を聞き残念そうに呟いた
そして、再び本に視線を戻す
何か気になる文面でも見つけたのか、弾んだ声を上げた太宰に、広津は声を掛ける
📙<パタンッ、
自殺本を閉じながら、太宰は首を傾げる
📱<ビリリリッ、ビリリリッ、
広津の言葉を遮る様に、太宰の携帯が鳴った
通信相手を確認すると、太宰は携帯を開いた
そう言うと、太宰は不敵な笑みを浮かべる。
太宰の様子を見ていた広津だが、不意に聞こえた声に身体を後ろに向ける。
すると後ろにあった建物の屋根に、煙管を咥えた那津が座っていた。
広津が問い掛けると、那津は煙管を吸い、吐いた
そう言うと、那津は太宰の方に視線を向けた
ゴゥゥンッ!!
那津に釣られ、広津が太宰の方に目を向けたと同時に、突然何かが太宰へ衝突した
焦る広津とは反対に、那津は何処吹く風と言う感じだ
ドゴォォンッ!
そして勢いに従って、太宰は瓦礫の下に埋もれてしまった
衝撃音と楽しそうな高笑に、二人は視線を其方に向ける。
そこには、赭髪を持ち、ポケットに手を入れ乍、地面に転がる太宰を踏みつけている少年が居た
▷▶To be continued

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。