第23話

 At that time 
258
2023/07/25 15:00 更新





列車に揺られるがまま4時間ほど

窓から見える景色が、都心のビルから緑の多い景色になって来た頃だった



あなた
もうそろっとで着きますね
あなた
足大丈夫ですか?


吊り革に掴まり、立ちっぱなしだったけれど

特になんて事はなく



“ 大丈夫 ” とだけ返した





スマホを見れば圏外の表示

若干の息苦しさを感じるという事は、結構な高さまで来たのだろう










時刻は夜 19時

辺りが暗く、闇に包まれていく時間だった









上杉 和典
ここは雪が降らないんだな


仮にも12月が終わろうとしている頃

今の時期に雪がないというのは珍しい



あなた
周囲を高い山が囲まれているので
滅多に降る事はありませんね



彼女の言葉の通り

見渡す限り山に囲まれ、暗さを更に醸し出す





いつかの映画で見た、陸の孤島に似ていた




下車した駅から徒歩数分歩いたところで急に視界が開ける

東京の様な人工的な光ではなく、

温かい光で包まれた村だった



中央にある大樹が一本植っていているのが1番始めに目に映り、それが印象的だった

















あなた
毎年、この木を目印に死者の魂が宿ると伝えられています




説明を聞きながら大樹の元へ移動する

幹の太さは自分が10人いても囲みきれない程太く、空高くにある葉がワサワサと揺れた





ふと、自分が呼ばれた様な気がして

その幹に触れる
















刹那__。














バチッという音と共に、周囲から音が消えた























At that time .. その時

プリ小説オーディオドラマ