どのくらいの時間が経っただろうか。
そろそろ帰ろう。
溢れる涙を袖口で雑に拭えば、立ち上がり宿舎へと歩き始める。
🐨「あぁ、このまま消えちゃおっかな、…」
夜空を見上げそう嘆く。
でも、きっと俺には出来ない。
どんな理由であろうと、好きな人の傍に居れて、口付けを交わし、時には身体を重ねることができる。
でも、何かが違う。
身体は満たされていても、心は満たされなかった。
本当は
" 恋人 らしいことがしたい "
手を繋いで、
春は綺麗に咲く桜を見て
夏は夜に海を眺めて
秋はお互いの好きな食べ物を食べあって
冬は寒空の下イルミネーションなんか見たりして
あの時のヨシくんが俺だったら。って何回も考えた。
愛おしそうにヨシくんを見詰めるジフナの目。
羨ましかった。
純粋な、綺麗な、恋をする目。
何処で踏み外してしまったのか、今更考えてももう分からない。
考えたくもない。
こんな事を考えていればポツポツと雨が降ってきた。
天気予報なんて見る習慣がないから、傘は持っていない。
弱かった雨は次第に地面を叩きつけるように強くなっていく。
顔を俯かせ、湿っていく地面を見詰めゆっくりと歩く。
遠くの方では雨の中恋人たちが楽しそうに笑う声が聞こえてくる。
👤「走れ走れ~、風邪ひいちゃうぞ~ !」
👤「おっぱ~、待ってよ~、 !」
足が止まる。
正しい道を選んでいれば、恋人になれて毎日楽しかった?毎日笑えてた?
そう問いかけても答えは返ってこないし、虚しくなるだけ。
また視界が滲んでいく。
止まることを知らない涙は雨とは別に俺の頬を濡らす。
🐨「もう嫌だ 、っ… 、」
そう嘆いた途端、身体に雨が当たらなくなった。
顔をあげれば
🐨「よ、しくん、、?…、」
俺に傘をさすヨシくんが立っていた。
🐯「遅いから心配したんだよ。雨も降ってきたし、早く帰ろう?」
静かに優しい声色でそう嘆くヨシくん。
声を聞いただけでまた涙が溢れそうになる。
それに気付いたのかヨシくんは俺を抱き締めた。
傘が落ちてヨシくんまで濡れる。
でもそんなのお構い無しに
🐯「大丈夫。大丈夫だよ。 安心して。」
と包み込んでくれる。
暖かい人肌に触れた途端、ぷつん。と何かが切れた音がして、それを合図に涙が溢れ出た。
🐨「っ、… ~ 、 辛いよ、苦しいよ、でも好きなんだよ、…、」
🐯 「よく頑張ったよ。よく一人で耐えたね。
えらい。強いよジュンギュや。
でももう大丈夫。独りじゃないから。
大丈夫、大丈夫だよ。」
暖かく大きな手が俺の背中を摩り、何度も言い聞かせるように大丈夫。と言ってくれる。
本当は分かってた。
ヨシくんには叶わないって。
見ていないようでちゃんと周りを見ていて、
こうやって理由も聞かずただただそばに居て安心する言葉をくれる。暖かい人。
こういう所に惹かれたんだろうな。
🐨 「 、叶わないや … 」
そう小さく呟けば
🐯 「落ち着いた、? 」
と眉を下げ心配そうに顔を覗き込んでくる。
🐨「うん、ありがとう。帰ろう。」
笑ってそう答えれば、俺の速度に合わせて歩いてくれる。
宿舎に着けば玄関でヒョンソギヒョンがバスタオルを持って待っていた。
🦔「あいご~、こんな濡れちゃって。 風邪ひいちゃうでしょうが~ 」
わしゃわしゃと濡れた髪の毛を拭いてくれる。
🦔 「お風呂沸かしてあるから、入っちゃいな」
最後に頭を撫でれば俺の濡れた鞄を受け取り干しにその場を離れた。
何も聞かずにいつも通り接してくれる。
ヒョン達は薄々気付いていたんだ。
俺とジフナの関係があまり良いものでは無いと。
この空間が心地よくて、今だけ甘える事にした。
低クオ語彙力皆無のお話を読んで下さる皆様…
ありがとうございます( т т )
予想していたよりも多くの方に読んでいただけてとても嬉しいです> < ♡












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!