第5話

05
2,992
2025/06/08 09:10 更新
モブ女
ねぇ、ちょっと良い?



体育前に女子更衣室で着替えていると不意に声をかけられ制服を脱ぎかけたまま振り返るとよく楓馬に絡んでいる女子が腕を組んで立っており思わず身構えてしまう。

こんなの、マンガとかでよくあるシチュじゃん…




あなた
あ、、えっと……何か、?
モブ女
…楓馬にちょっかいかけるのやめてくんない?
あなた
………はぃぃ?



なんで私がちょっかいかけている事になるのか。
教室の中で私から話しかけたこともアイコンタクト飛ばしたこともグループ分けに誘ったこともない。
全部楓馬だし全部断って逃げて見せてるだろうが。

…だが、彼女たちにとってどっちが先とかは関係ないのだろう。
頭が痛くなるのを感じつつもなんとかこの場を切り抜ける事だけ考えるべきだと頭の中で警報がなる。



あなた
…あ、あんな陽キャの擬人化みたいな人、私正直苦手以外の何者でもないんで…ちょっかいとか、そゆの…気のせい、じゃないですか?
モブ女
……ふぅん…なら、、あんたは楓馬の事嫌いって事でOK?
あなた
……………、、そりゃ…そう…でしょ





ハッキリそれを言葉にしかけて言葉が詰まってしまった。
脳裏に二人きりの時に見せる楓馬の顔がチラついてしまったからだ。

私のぎこちない返答でも納得した様子で女子生徒が去ればどっと疲れが押し寄せてきたけど予鈴が聞こえてきた為慌てて着替えて体育館へと向かった。




























体育館を半々に分けて男子はバスケ女子はバレーと球技大会に向けての練習がメインになっているが主力選手では無い私は球拾いや線審をぼんやりこなすに留まる。

ふと視線が向かいのコートに向けばちょうど楓馬がボールを奪取しドリブルで攻め上がっているところだった。





藤堂 楓馬
……!



一瞬、目が合った気がした。

ニヤリと笑って一人また一人と敵を躱し、綺麗に跳んで放ったボールは吸い込まれるようにゴールの輪をくぐる。
瞬間キャー!とバレーそっちのけで観戦していた女子の黄色い声が上がった。

相変わらずすごい人気…と思いつつも私の胸も僅かにドクッドクッと脈打っているのがわかる。
……おかしいな、こんなはずでは…

黄色い声を浴びて、チームメイトの男子に肩を組まれて笑っている姿を眩しく思っていたら楓馬の顔がこちらに向いた。







藤堂 楓馬
……♡



目が会った瞬間何か叫ばれるのでは無いかと覚悟したが、遠目から誰に向けたかも分からない投げキッスを一つしただけに留めていた。

……私宛…だよ、ね…//


何とも言い難い感情に表情を歪ませていたら顔の真横をボールが勢いよく通り抜けていった。





あなた
ぅ、わ……っ…!
モブ女
………………、


ボールの飛んできた方に顔を向ければさっきの女子がすごい顔でこちらを睨んでいて背筋に冷たい汗が伝い流れる。

慌てて男子側のコートに背を向け、ラインアウトしたボールを拾うことに集中した。





······▸



モブ女子こわいっ:( ˙꒳​˙ ):

プリ小説オーディオドラマ