第173話

フクロウ(🐥side)
734
2025/10/26 14:41 更新




(なまえ)
あなた
ヨンボガ、入るよー?





病室の外から聞こえるあなたヌナの声に身体を起こす。





フィリックス
フィリックス
あれ?ヌナ今日オフだったっけ?
(なまえ)
あなた
ううん、この後スケジュールあるけどちょっと時間作ってもらえたから。
それよりどう?腰の具合……
フィリックス
フィリックス
しばらくは絶対安静だって。
その後も薬だったりこまめなメンテナンスは必要だし、それにダンスも制限はつきそう……





数年前に発症したヘルニア。




激しいダンスをすると痛みが出るからフリを調整しながらやっていたんだけど、ついに普通の動作でも痛みが激しくなってしまい、練習を抜けて病院に行った。




症状が悪化していたために即入院になってしまってメンバーには心配をかけてしまった。


忙しいスケジュールの中でお見舞いに顔を出すのも大変だろうに、こうやって時間を作ってお見舞いに来てくれるヌナの優しさが嬉しい反面、心苦しくもあった。






フィリックス
フィリックス
ダンスラチャなのにな…どうしてこうなるんだろうね?




あまり重くならないように笑顔でそう言って見せたけど、優しいヌナにはそれさえも刺さってしまったようで、揺れる瞳で僕を見つめながらギュッと手を握ってきた。




(なまえ)
あなた
本当は優しい言葉をかけてあげたいけど、それじゃ逆にヨンボガを苦しめそうだから単刀直入に言うね?
きっと長い間付き合っていかなきゃいけないことだと思うから、腰のことも考慮したパフォーマンスを常に考えていかなきゃいけないと思う。





ダンスラチャとして、リノヒョンやヒョンジナのように胸を張って踊れなくなる。


でも仕方ない、これは僕から切っても切り離せない問題だから…





(なまえ)
あなた
でもね、わたしはヨンボガはダンスラチャだって胸を張って言えるよ。
フィリックス
フィリックス
えっ……?





予想外の言葉に目をまん丸と見開いてヌナを見る。




(なまえ)
あなた
自分の置かれた環境や元々のフィジカルの問題でパフォーマンスに制限があること、わたしも経験がないわけじゃない。
でもそんな経験から学んだのはいつだって自分にできる最大限のことをすることと、自分の魅せ方だった。
(なまえ)
あなた
ダンスラチャは3人ともダンスが上手だけど、全員個性が違ってるからいいんだよ。
腰のせいで制限があるって悩んで、ヨンボガの個性を見失ってほしくない。
わたしの大好きなヨンボガのダンスはそんなことで失われないって信じてるよ。






確かにヌナはstraykidsの紅一点。



僕らナムジャのダンスに合わせてダンスをするけど、身体つきから体力まで、全然違う。


でもそんなことを感じさせないパフォーマンスをしているヌナの言葉だからこそ、それがただの慰めの言葉じゃないことが分かった。






フィリックス
フィリックス
ありがとう、ヌナ。
ちゃんと自分の身体と向き合いながら、ヌナが胸を張れるダンスラチャで居続けられるように頑張るよ!
(なまえ)
あなた
ヨンボガの魅力を発揮出来るフリ、リノオッパと一緒に考えてたから、退院したらヨンボガも一緒に考えてよねっ!






僕のことを思ってリノヒョンも色々考えてくれてるんだ…




腰の痛みに負けてられない。




僕はstraykidsのダンスラチャだって、ヌナが胸を張ってくれているんだ。
本人が胸を張らないでどうする。





病室だと沈みがちだった気持ちがグッと上がった。






(なまえ)
あなた
あ、そうだ!
これヨンボガが寂しくないように持ってきたんだった!




カバンから取り出したのは、ヌナの部屋に入ってすぐの位置に置かれていたフクロウのぬいぐるみだった。




フィリックス
フィリックス
これって…ヌナの部屋にあったフクロウのぬいぐるみだよね?
どうして……
(なまえ)
あなた
フクロウって日本語の名前だと当て字で、苦労しないとか幸福が自分の中に留まるっていう意味があるの。
どんなに大変な努力も苦労だと思わずに前向きに取り組めるようにって、つらかったときは部屋に入るとこの子を撫でてるの。
リハビリとか大変だと思うから、しばらくヨンボガに預けておくね。
一人で頑張ってるんじゃなくて、わたしたちずっと一緒だよ?





ヌナって本当に素敵だな。



決してヌナは自分の考えを押し付けてるわけじゃないんだけど、ヌナの考えを聞くと自然と自分の心がそちらに引き寄せられる感じがする。



純粋に素敵な考え方だと思うのと、自分自身がより良くなれる気がして。




ずっと、そんなヌナが僕の道標だった気がする。






フィリックス
フィリックス
ヌナってほんと可愛いことするよねㅎㅎ
ありがとう、僕このフクロウさんと頑張るから安心してスケジュール頑張ってきてよ!
(なまえ)
あなた
ヨンボガのいつも通りの笑顔が見れたし、わたしも頑張ってくる!
またカトクするね!





そう言ってヌナは病室を後にした。







リノヒョンやヒョンジナにはない、僕のダンスの魅力。



それを表現することに注力すればいいんだ。
そう思うと気が楽になった。




こんな短時間で僕を励まして去っていくヌナは本当に頼りになる。






ヌナがいる限り僕の人生はいいものになるだろう、なんて思ってしまうくらいに…

そう、アイドルとしての苦労も苦労じゃなく思えて、僕は僕でいるだけで幸せだと思える。




大事に抱き抱えたフクロウのぬいぐるみを見てふと思う。




あなたヌナは僕にとってのフクロウみたいだなって。








プリ小説オーディオドラマ