病室の外から聞こえるあなたヌナの声に身体を起こす。
数年前に発症したヘルニア。
激しいダンスをすると痛みが出るからフリを調整しながらやっていたんだけど、ついに普通の動作でも痛みが激しくなってしまい、練習を抜けて病院に行った。
症状が悪化していたために即入院になってしまってメンバーには心配をかけてしまった。
忙しいスケジュールの中でお見舞いに顔を出すのも大変だろうに、こうやって時間を作ってお見舞いに来てくれるヌナの優しさが嬉しい反面、心苦しくもあった。
あまり重くならないように笑顔でそう言って見せたけど、優しいヌナにはそれさえも刺さってしまったようで、揺れる瞳で僕を見つめながらギュッと手を握ってきた。
ダンスラチャとして、リノヒョンやヒョンジナのように胸を張って踊れなくなる。
でも仕方ない、これは僕から切っても切り離せない問題だから…
予想外の言葉に目をまん丸と見開いてヌナを見る。
確かにヌナはstraykidsの紅一点。
僕らナムジャのダンスに合わせてダンスをするけど、身体つきから体力まで、全然違う。
でもそんなことを感じさせないパフォーマンスをしているヌナの言葉だからこそ、それがただの慰めの言葉じゃないことが分かった。
僕のことを思ってリノヒョンも色々考えてくれてるんだ…
腰の痛みに負けてられない。
僕はstraykidsのダンスラチャだって、ヌナが胸を張ってくれているんだ。
本人が胸を張らないでどうする。
病室だと沈みがちだった気持ちがグッと上がった。
カバンから取り出したのは、ヌナの部屋に入ってすぐの位置に置かれていたフクロウのぬいぐるみだった。
ヌナって本当に素敵だな。
決してヌナは自分の考えを押し付けてるわけじゃないんだけど、ヌナの考えを聞くと自然と自分の心がそちらに引き寄せられる感じがする。
純粋に素敵な考え方だと思うのと、自分自身がより良くなれる気がして。
ずっと、そんなヌナが僕の道標だった気がする。
そう言ってヌナは病室を後にした。
リノヒョンやヒョンジナにはない、僕のダンスの魅力。
それを表現することに注力すればいいんだ。
そう思うと気が楽になった。
こんな短時間で僕を励まして去っていくヌナは本当に頼りになる。
ヌナがいる限り僕の人生はいいものになるだろう、なんて思ってしまうくらいに…
そう、アイドルとしての苦労も苦労じゃなく思えて、僕は僕でいるだけで幸せだと思える。
大事に抱き抱えたフクロウのぬいぐるみを見てふと思う。
あなたヌナは僕にとってのフクロウみたいだなって。















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。