あなたの下の名前様って言ってるけど、まだルカスさんは中身がすり替わったこと、知らないよね?
まぁ、そうだよね。
…ベリアンさん、結構鬼畜なこと言うなぁ、
ルカスさん、飲み込みがはやい…
私、一回じゃ人の話覚えられないから、羨ましいな
そうかな?
私、ルカスさん大層なことしたと思う。
閃いた!とでも言い出しそうな手振りでルカスさんは言った。
………そういえばそうだった。
ルカスさんに目がいって気にならなかった。
うう~……じっくり見られるの慣れてないから手が震える…
はやく…はやく、終わってほしい…、
そりゃそうだよね。こんなことで大事になってたら大変すぎ。
私、消毒苦手なんだけど
ルカスさんは消毒液に浸したコットンをぽん、ぽんとリズミカルに叩く。
分かってたことだけど、やっぱり痛い。
ぽんぽん、ぽんぽん。
「我慢できて、主様は凄いですね」と、ルカスさんが褒めてくれた。
どこだろう、絆創膏……
そういったルカスさんの手元には貼る準備万端の絆創膏が。
毎回思うんだけど、絆創膏って少し貼りづらく感じる。今はコンビニに貼りやすい絆創膏が売ってるんだっけ。
あれ考えたの、小学生なんだってね。
羨ましい、全部全部。
私と違う世界にいるのだろう、きっと。
羨ましい、
褒められたい、
必要とされたい、
寂しい、
つらい、
要らないことばかり考えてしまう。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。