第13話

新たな依頼
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2024/02/06 09:51 更新

夜鈴
哎呀アイヤー!鬼幽!?
夜鈴
なんでここにいるか?!
鬼幽
夜鈴こそなんでここにいるんだ?

夜鈴イーリンと呼ばれていた女の子は、鬼幽にそう尋ねられると分かりやすく動揺し始めた。
夜鈴
ワ、ワタシ…鬼幽を助けた子にお礼言いに来たね!
神代 あかり
(どう考えてもそんな雰囲気じゃなかったけど)
夜鈴
鬼幽こそなんでここにいるか?
夜鈴はこれ以上ここにいる理由を深掘りされたくないからか話題を素早く切り替えた。
鬼幽
俺も、あかりにお礼を言いに来たんだ
鬼幽
この間はあかりがいないと危ないところだった、ありがとう
神代 あかり
いや、いいよ全然!私も助けてもらったし!
神代 あかり
背中の傷はもう大丈夫なの?
鬼幽
うん、もう治った。あかりはどこも怪我してなかった?
神代 あかり
うん、鬼幽が助けてくれたからどこも怪我してないよ
鬼幽
そっか、良かった
鬼幽
あかりも怪我してたんじゃないかと思って心配だったんだ
神代 あかり
全然!私すごい元気だよ

私がそう言うと鬼幽が、ふっと息を吐くように顔をほころばせて笑った。
その笑顔に喉がきゅっとしまって

今まで、静かで規則的だった心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
神代 あかり
(あれ、なんかこの間と雰囲気違くない……?)

この間とどこが違うのか探るためにじっと鬼幽を見つめていると
鬼幽の服装が、この間の着物ではなく制服を着ていることに気がついた。
神代 あかり
えっ、鬼幽学校行ってるの!?
鬼幽
まあ、一応行ってる
神代 あかり
……妖怪って学校通えたんだ、初めて知った
鬼幽
全員が通えるわけじゃない、俺は半妖だから
神代 あかり
はんよう···?
夜鈴
妖怪と人間の間に生まれた子のこと半妖言うね
神代 あかり
へー、人間と妖怪のハーフだったんだ。
神代 あかり
いいなぁ〜。種族を越えた恋愛ってすごい素敵じゃない?
素直な感想を述べた私を見て、夜鈴はなぜか目を見開きながら
夜鈴
お前…変わてるね……
と呟いた。
神代 あかり
えっ、そんなことないと思うけど
同意を求めようと視線を夜鈴から鬼幽に移す、目が合うと
鬼幽はにこっ、と微笑んだ。

その笑顔に胸がむず痒くなって不自然に目を逸らしてしまう。
神代 あかり
(…なんで私、目逸らしちゃったんだろ、これじゃまるで…!)
夜鈴
……お前、もしかして鬼幽のこと好きか?
神代 あかり
ちがっ…!あ、いや違くないんだけど
神代 あかり
別に、そういう意味の好きじゃなくてっ!

私が慌てて、言い訳をしていると1匹の三毛猫が紙を咥えながらこっちに向かってきて、

鬼幽の近くまで来ると「ニャーン」と可愛らしい鳴き声を上げた。
鬼幽
手紙持ってきてくれたのか、ありがとう
そう言うと、猫が咥えていた手紙を受け取り毛並みを整えるように撫で始めた。

猫は気持ち良さそうにゴロゴロと喉を鳴らす。
夜鈴
はぁー、また妖怪退治の依頼ね…最近多すぎよ
神代 あかり
(私と同じように、妖怪退治の依頼してる人いるんだ)
神代 あかり
ねぇ、なんて書いてあるか読んでいい?
鬼幽
いいよ、はい
私は鬼幽から受け取った手紙を開封すると、その中身を声に出して読み始めた。
【私の息子が先日、家の裏山にある池に友人と遊びに行ったところ池から黒い‪”‬なにか‪”‬が伸びてきて友人はそれに掴まれ池へ引きずり込まれて】

【息子は命からがら逃げ帰って来たそうです、息子の友人が行方不明になって2日経ちましたが未だに見つかっていません。】

【どうか、息子の友人を助けてください。
塚本 圭一】

神代 あかり
(友達が池に……)

前の私と同じで、友達が行方不明なんだと思うと、他人の話なのに他人事のように思えなくなった。

この間は武器も何も無かったけど、今日は弓あるし…この間よりは役に立てるかも
鬼幽
行方不明になって2日なら、急いだ方がいいな
鬼幽
今から依頼主に話を聞きに行こう
夜鈴
了解ね
神代 あかり
あの!私も一緒に行ってもいい?
鬼幽
いいよ、一緒に行こう
夜鈴
はぁ!?何考えてるよ鬼幽!
夜鈴
こいつに何ができるね?危ないだけよ
神代 あかり
大丈夫だよ、今日弓あるから!
神代 あかり
何かあったら弓でどうにかするよ!
神代 あかり
(矢が中るかは分かんないけどね…まぁ、無理だったら矢だけで攻撃すれば……)
鬼幽
…だそうだ
鬼幽
万が一の時は、逃げてもらうか俺が守ればいいし
鬼幽
夜鈴もいるから大丈夫だろ?
夜鈴
…鬼幽がそんなに言うなら、いいね!

さっきまで、怪訝けげんな面持ちだった夜鈴が一瞬で満足気な表情になった。
夜鈴
早く依頼主のこと行くよ!
神代 あかり
(薄々感じてたけど…もしかして、夜鈴と鬼幽付き合ってたりする?)

私が鬼幽のこと知ってるんですか?って聞いた時に、「知てるも何もワタシ、鬼幽の……」って何か言いかけてたし

もしかしたら、鬼幽の彼女って言おうとしてたのかも

そう考えると、胸が少し痛んだ。
鬼幽
あかり?行かないのか?
私が悶々と考えている間に2人は歩き始めていたらしい。着いてこない私を不思議に思ったのか鬼幽が声をかけてきた。
神代 あかり
今、行く!

私は、煮え切らない感情を抱えながら2人の影を追うように後ろを歩いた。

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