_side.れる_
『ご飯作ってくるから。』
れるはそう言ってその場から逃げた。
どうしても耐えられんかった。
___________月が綺麗ですね。
愛しているよ、ということでも使われる言葉。
けど..............あの思い出は、どうしても忘れられない。
................まぁ、それをあなたに言っても何も変わらないけれど。
今、後悔したって遅い。
でも...............もう一回だけでいいから、れるが好きって言ってほしかった。
指輪................。
..............。
懐かしいわ、この指輪。
というか、さっきインターホンなっとったよな。
重たい足を引きずって玄関へと向かう。
................そこには。
泣いてるあなたとこえくんがいた。
プツンッ
.................れるの中で何かが切れた音がする。
そう言って、れるはこえくんの襟を掴みあげた。
そんな根拠なしの弁解じゃ信用できない。
.................だけど。
その時、あなたが信じられない行動に出た。
まるで庇うかのように、こえくんに抱きつく彼女。
『こえくんは悪くない。』
そして...................その後に彼女の口がありえないことを告げた。
『................私の"恋人"を責めないで、れるくん』
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!