深夜、庁内に泊まり込みで仕事をする。
仕事の合間で静かな室内。
何気なくスマホを開く。
トレンド欄には
期待の新星
一瞬、指が止まる。
(……何だ?)
開いてみると、
〈新人Vがトレンド1位〉
〈Midnight LOg完成度やばい〉
〈甘城澪って誰〉
その名前で、もう一度止まる。
澪。
珍しくはない字だ、そう思おうとする。
だがなぜか、引っかかる。
切り抜きを開く。
落ち着いた声、静かで無駄がない。
呼吸が、一瞬だけ止まる。
(……似ている。)
何が、と明確に言えない。
声の抑揚か、
言葉の選び方か、それとも
“間”か。
画面に映る名前は
甘城 澪。
指が無意識に、プロフィールを開く。
説明欄には
“あなたの真夜中を、少しだけ記録させてくださいね。”
視線が止まる。
“澪”
字を、なぞる。
(……偶然、だろう。)
合理的に考えれば、そうだ。
だが、なぜか胸の奥が、ざわつく。
アーカイブを開いてみる
落ち着いた声。
画面の向こうで、微かに視線が揺れる。
その揺れに、覚えがある。
(……まさか。)
否定する
だが、もう一度、名前を見る。
『澪』
そして、
プロフィール欄の誕生日。
『11/12』
完全に、止まった
画面の中で、三人が言う。
スマホを持つ手が、わずかに強くなる。
『探さないでください。』
あの日の言葉が、蘇る。
外出が許可されたあと、最初に行ったのは家だった。
ドアを開けると家にあるはずの温度が消えていて
あなた、ただいまと言いながら部屋へ入れば
置き手紙、ただ一言で『探さないでください』
あなたのことだから、何も心配はしていないけれど
急にいなくなったことで喪失感は強かった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。