第80話

🦊
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2021/07/27 13:28
仁俊 side
あなたがまだ仁俊哥なら戻れる





そう言った瞬間周りの景色が変わり、駅のホームへ戻った。

ホームにはきさらぎ駅と書かれている。














ロンジュン
ロンジュン
あなた、俺じゃなくてあなたが生きるべきだっ
ロンジュン
ロンジュン
あなたは高校に行って変わっただろ…?その世界を捨てないでくれっ…
U
U
嫌だよ、大切な人も守れずに長い間生きるなんて。死ぬべき時に死ぬべきだった…
ロンジュン
ロンジュン
そうじゃないんだっ……もう一度っ、…






.
U
U
仁俊哥っ…?





あなたは泣いてた。



さっき泣き止んでたのに、また、。










きっと自分の意思を信じてくれない俺が嫌になったんだ。

意地でもあなたを生かそうとするから。






U
U
ファーストキスっ…仁俊哥にあげるから、だからっ………
U
U
私の代わりにあの世界で私の分まで人に愛されて人を愛してあげてっ…










俺がその言葉に唖然としているうちに、






ちゅっ







俺とあなたの唇が触れた。

俺だって…ファーストキスだよ










名残惜しく、唇が離れる。
ロンジュン
ロンジュン
……もっかい
U
U
え、っ…あ、ちょっと




今度は俺からあなたの唇に触れた。


優しいキスじゃなくて深い方。











U
U
んっ…ふ、ぁ……





唇を離すと、もう一度ぎゅっとあなたを抱きしめた。



それでも俺はあなたをあの世界に返すつもりだから。
U
U
じゃあ、仁俊哥…








あなたの言葉を合図かのようにホームで電車のドアが閉まることを知らせる警告音が鳴り始める。





























ドンッ
ロンジュン
ロンジュン
え、っ…






俺は思わずあなたに押されて電車の中へ乗り込んでしまった。








と、同時にドアが閉まる。




















ダメだっ、それだけは……あなたがあの世界に居なきゃ…
ロンジュン
ロンジュン
あなたっ…ダメだっあなたが乗らなきゃ……
U
U
仁俊哥っ、!!我爱你愛してる…!







電車のドアに手を当てるとあなたも外からドアに手を当てた。




初めて彼女から聞いた好意。













嬉しいけれど今はもうそんな余裕はない。










と、気づいた。


あなたの手が少しずつキラキラと雲のように消えていってしまっていることに。












ロンジュン
ロンジュン
あなたっ…!!!消えちゃう…、俺が残るからっ…、
ロンジュン
ロンジュン
早く…、
U
U
もう残れないよ…仁俊哥、、元気に長生きしてねっ










泣きながらも笑う彼女の綺麗な顔に俺は決心した。





ロンジュン
ロンジュン
あなた、我爱你愛してる
ロンジュン
ロンジュン
これからもずっとだから
U
U
ふふっ、そうだと嬉しいなぁ…










電車が動く。



あなたの温もりが消える。



















あぁ、俺は………っ…守れなかった。

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