この気持ちはずっと前から、離れてもなお変わらない。
どうやっても忘れられなかった。そして、これからもきっと、忘れることなんてできない。
その日は久しぶりになかなか寝つけなかった。
メッセージの返信ができないまま、気づけば移植手術の日が一週間後に迫っていた。
あれから一度も咲からのメッセージはない。なければないで、ホッとした。これ以上かき乱さないでほしい。
穏やかに手術に臨みたいんだ。
それなのに......。
メッセージがくることを期待してる私がどこかにいる。未練がましいったらないよね。
忘れようとすればするほど、どんどん忘れられなっていく。
今でも胸の大半を咲がうめ尽くしているなんて。
いよいよ手術が明日に迫った日の夜。
お父さんがお見舞いに現れた。
そんなふうに切り出して、言葉をためるお父さん。
やめてよ。
また心がかき乱される。
詳しく説明しなくても、お父さんは私の言いたいことを察して返事をしてくれた。
同じ経験をしたからこそ、私にそう言うんだろう。あくまでも咲の味方というわけだ。
胸にくすぶる咲への想いを我慢できない。
だけどわざわざ不安にさせるようなこともないかな。
もし、手術が終わって無事だったら一。
迷わず気持ちを伝えよう。
そう心に誓って、私はそっと目を閉じた。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。