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第1話

俺の姉ちゃん
422
2023/08/23 09:07
「利音」
テレビから、特に興味もないニュースを見ていた、リビングのソファで寛ぐ俺の耳のもとへ、静かでいながら、強く芯の通った声が届く。
「どうかした?姉ちゃん」
俺の名を読んだ姉に目線を向けようと、身体をねじるとギシリと、ソファから音がなる。
そういえばこの灰色のソファももう何年も使っている。生地も傷み始めているし、そろそろ替え時なのかもしれない。なんて、そんなことを考えた。
姉ちゃんは眼鏡の奥の俺の目をしっかりと、俺よりも少し色素の薄い目で見据えた。
「今日の午後に、姉ちゃんの友達が来るんだけどさ」
姉は言外に嫌ではないかを聞いてくる。
俺達姉弟は、人を見る目は確かであると自負している。
つまり、人の悪いところも良いところも、平等に見えてしまうのだ。
だから、姉がもう決定してしまっているような口調で聞いてくることに、少し驚きつつも妙な安心感を覚えた。
「全然いいよ」
「寧ろどんな感じの人なのか気になりさえするよ」と、笑って言う。
姉も「あんたも気にいるはずだよ」そう言って、若草色の瞳が、瞼から少し除くくらいにまで目を細めた。
そんな彼女にしては、珍しい表情をも浮かべてしまう程の人なのだ。
俺は口角が上がっていくのを感じた。
ああ、なんて楽しみなのだろうか
うる
うる
なんかね、うん
うる
うる
のりと勢いと妄想だけでここまで来たから
うる
うる
なんか短いし変かもだけどごめん
うる
うる
じゃな

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