第6話

『甘すぎる父親』
15
2025/04/16 11:03 更新
私のパパは、とーっても優しい。何か欲しくなったら、買ってくれるの。


今日は学校で、人気のショルダーバッグの話題が出た。

「緋咲ちゃん、見てみてー。これ、『リーフ』のショルダーバッグだよー!」

話しかけてきたのは、クラスのムードメーカー、真希ちゃん。ショルダーバッグは、ブランド名にふさわしい、緑の生地のショルダーバッグ。可愛い葉っぱとハートがあしらわれている。

「真希ちゃん、それ学校に持ってきちゃっていいの?」

「大丈夫!バレなきゃ平気だよ!緋咲ちゃんは、持ってるの?『リーフ』のやつ、みんな、持ってるよ!」

「そうなの!?私、持ってないな…」

「買ってもらいなよ」

「分かった!パパにきいてみるねー!」

***

「パパー」

「緋咲。どうした?」

「『リーフ』っていうブランドのもの、みんな持ってるんだってー。買ってよ」

「『リーフ』? 分かった、買ってやるよ」

「わーい!ありがとう、パパ!」

欲しいものは、こうやってなんでも手に入るの。
今度は、何をお願いしようかな…?

***

「パパー!スマホ買ってー」

「緋咲、お前まだ小学生だぞ」

「みんな持ってるから、買ってよ」

「分かった、分かった。買ってやるよ」

「わーい」

真希ちゃんが持っていたスマホ。買ってもらえた。
他にも、こうやってスケボーとか、一輪車とか、本とか、文房具とか、買ってもらった。そんなある日。

***

「緋咲ちゃん、明日授業参観だね!」

「あ、そうだね!いいところ見せられるように頑張ろう!」

「うん!そういえばさ、緋咲ちゃん家、いっつもパパだよね〜」

ぎくっ。

「そうなの。ママ、忙しいんだー」

「へぇ」

もちろん、うそ。お母さんは、家にはいなかった。ちっちゃい頃に、死んじゃったんだって。だから、ママのことは、全く覚えてない。

翌日。授業参観。みんな、ママが来ている。パパとママが両方来てくれているお家もあった。でも、家は、パパだけ。

「緋咲、すごかったじゃないか。あんな問題も、解けるようになったんだな。パパ、嬉しいよ」

「えへへ。ねぇ、パパ、欲しいものがあるの」

「なんだい。ご褒美に、なんでも買ってあげよう」

「じゃあ、私、〝ママ〟が欲しい」

「…え」

「ええ?だって、〝みんな、持ってるよ〟?」

プリ小説オーディオドラマ