第34話

求婚32
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2022/04/22 18:16
江口side


あなた『彼は私を守ってくれたのに、私は何も出来なくて、』

江口「あなたちゃん、もういいよ。」


話を中断して、子供をあやす様に頭を撫でた。


切なげな瞳を見ていられなくて、抱きしめた。


江口「あなたちゃん……」


重たい鎖で雁字搦がんじがらめにされて、動けなくなって、今も尚、痛々しく苦しんでいる。


だから、思ったことをそのまま伝えた。


江口「無理に忘れなくていいと思うよ。」

あなた『え?』

江口「忘れようとしてるでしょ。あなたちゃん。」


見透かしたように伝えると、彼女は俺の腕の中でビクリと跳ねた。


江口「辛いなら忘れた方が、とも思うけど、あなたちゃんがその子と過ごした時間を思い出として残しとくのも、って、ごめん」


勝手に言っちゃって… と、少し反省するが、目のふちに少量の涙を溜め、彼女は首を振った。


あなた『ありがとうございます。』


鼻も赤いし、俺の肩も湿ってるけど、それでも可愛く見えた。


江口「ゆっくり、ね?」


言ったでしょ。


待つ。意識させた後、俺に出来るのはこれくらいだ。

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