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第1話

‥ひっぱたいても‥
42,463
2020/04/20 23:34
あなた𝓈𝒾𝒹𝑒.°




よし、やるか。



昨日はあれから9時近くまで体育館にいて、家に帰ったら9時を回っていた。


幸運にもお風呂に先に入らせてもらって、いち早く眠りについた。



今日はセミナーも休みだし、昼頃まで寝てようかとも思ったけど流石に人様のお家でそこまで寝てもいられず。


というか帰り道に治くんから、「弁当作ってくれへん?」という依頼を受けたので張り切っている。



なに作ろうかな……。



治「……はよ」


あなた「!おはようございますっ」



大あくびをしながらリビングに入ってきた治さん。

クンクンと鼻を働かせて、こっちへやって来た。




治「……弁当や」


あなた「はいっ。……侑さんは?」


治「……起きてへん」



……ダメじゃん。



治「あれは起きんやつや。遅刻なる思うけど気にせんといてな」


あなた「えぇ……」



言いながら椅子に座って、私が運んだご飯に手をつけた。



治「なんでこんな美味い飯作れるん?」


あなた「っおいしい、ですか……っ?」


治「美味なかったらおかわりせぇへんよ」


あなた「……嬉しいですっ。今日は部活、ですか?」


治「あぁ~……せやで。おかわり」



お茶碗をズイっと差し出してきて、ご飯をついで持っていき、向かい側に座った。



あなた「…………」


治「……なんやジロジロ」


あなた「ふふっ…………治さんの食べっぷり、私好きです!」


治「…………自分可笑しいんちゃう」



呆れた顔をしながらもご飯をしっかり食べて、「ほなそろそろ行くわ」と席を立った。


玄関まで見送る。



あなた「頑張ってくださいねっ」


治「おおきに。……ツム、半までに起きんかったら起こしたってや。ひっぱたいてもかめへんよ」


あなた「はは……善処します」


治「ほならな」



渡したお弁当を掲げて薄く笑い、出ていった。









……起きないし。


コンコンッ


あなた「侑さーん……遅刻しますよ~」



まぁ遅刻は確定なんだけど。



……起きない、ほんと起きない。



あなた「入りますよ~??」



ガチャッ



治さんの部屋と反対側にベッドが置いてある。


その下には敷布団が広げてあって、侑さんはそこで寝ていた。



あなた「侑さぁん……」


侑「スー……スー…………」




『ひっぱたいてもかめへんよ』




いや、流石にねぇ……。



ペチペチ



緩まりきった頬に軽く手を当てると、顔をしかめた。



あなた「朝ですよ~」


侑「んぅ……?」



うっすらと目を開ける。



あ、起きたかな?



グイッ



あなた「!!!?」




ポスッ




……。




…………。





ナニゴト。





頬をペチペチしていた方の手を捕まれて、グイっと寄せられた。


バランスを崩して侑さんの腕の中へ。



あなた「ちょっ……侑さん!?」


侑「……スー…………スー」



寝てるし……。


なんとかもがいて脱出を試みるけど、ガッチリと捕まれて動けない。




あなた「ちょっと……」


侑「居らんなるなや……」



……??



あなた「……侑、さん?」












侑「__________“みぃ”」

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