第7話

七夕の日に
120
2023/08/02 12:02 更新
今日は七夕、夜空の姫と王子が一年に一度会えるとかいう日。
だなんて馬鹿げている。

そんなことを言えば、誰かしらに怒られそうだが仕方がない。
今日は忙しいのだ。
二階堂 綺
二階堂 綺
あー、面倒だ。
私、二階堂 綺は両手にダンボール箱を抱えたまま、玄関ホールの笹の前で立ち尽くしている。
なぜこんな状態なのかというと──
一ノ瀬 光
一ノ瀬 光
ほら、綺。
早く笹を片付けよう。
今日は七夕で、明日からはもう普通の日なわけで。
7月7日の放課後、つまり今、七夕の笹を片付けなければ企画として美しくない。

別に良いだろうと思うが、これが我が校の伝統のひとつなのだ。やらないという選択肢がない。
片付ける人間が多ければ楽なのであろうが、残念なことに今日は定例会議のない曜日だ。

定例会議のない日は部活に出る人や、予定を入れている人が多い。
現に笹を片付ける本部役員を募集して、私と光しか集まらなかったのだ。
仕方がないと言えば仕方がないが、さすがに少なすぎる。

七夕の放課後は可能な限り予定を空けておくように言ったはずだが、生徒会長がやさしすぎるのだ。

結局自分が苦労するというのに。
本当に世話の焼ける生徒会長様だ。
二階堂 綺
二階堂 綺
なあ光、みんな予定があるからと、なぜ光はみんなを引き留めなかったんだ?
思わず問いかけた私の言葉になぜか光が顔を赤らめた。
一ノ瀬 光
一ノ瀬 光
い、いや、特に意味はない。
この時期は皆忙しいだろうからな!
これは絶対に何かある。
いや、もう答えが半分わかってしまった。
本当にわかりやすくて面白い。
二階堂 綺
二階堂 綺
ふ〜ん?本当か〜?
一ノ瀬 光
一ノ瀬 光
ほ、本当だ!べ、別にそんな、あ、綺と一緒になんて……
二階堂 綺
二階堂 綺
私と一緒に?
一ノ瀬 光
一ノ瀬 光
なっ……!
なんでもない……
ほら、やはりそうじゃないか。
二階堂 綺
二階堂 綺
へぇ〜?本当は私と2人きりになれるから、引き留めなかったんじゃないのか〜?
一ノ瀬 光
一ノ瀬 光
は、はっ……?!
そ、そんなこと……
思いっきり顔に「図星です」と書いてある。
本当に面白可愛い。
一ノ瀬 光
一ノ瀬 光
そ、そんな……こと……
何かが邪魔をしているのか、光ははっきりと否定できていない。そこが良い。かわいい。
もっとからかいたいが、それでは片付けが終わらない。


しばらくして少し落ち着いたのか、光が口を開いた。
一ノ瀬 光
一ノ瀬 光
と、とにかく片付けを開始しよう。
まずは短冊の回収だ。
取り付けられた笹は生徒2人で片付けるには大きすぎる。

したがって、先生に手伝ってもらおうということになったのだが、今日の放課後は職員会議があるそうで、しばらく待たないと会議自体終わらない。

つまり今、私と光にできることは短冊の回収くらいなのだ。

幸い脚立は借りてある。

そんなに高いところに短冊があるのかと言われそうだが、短冊の数が増えてくると高いところに結ばざるを得なくなるのだ。

それに、私と光ではお世辞にも平均身長が高いとは言えない。
これを口に出したら光が落ち込んでしまいそうなので何も言わないでおく。
二階堂 綺
二階堂 綺
今回も脚立をのぼるのは私で良いか?
私は一応、光に聞いた。

光は高いところが苦手だ。

本人曰く、安全が保証されている建物ならまだ平気らしいが、足場が狭いところや梯子はしご、脚立はだめらしい。

ちなみに体育館のステージから床まで飛び降りるのも無理だ。いつも座って、足をギリギリまでおろしてから降りるか、脇の階段を使って降りている。

別に、それをかわいいと思ったことしかない。
一ノ瀬 光
一ノ瀬 光
ああ、お願いする
私は脚立にのぼって、近くの短冊を回収する。
一番高いところにあるのは、かなり身長の高い男子生徒だった気がした。
回収するということは、願い事も見えてしまう。
不可抗力ではあるが……。

私は、自分の好奇心に逆らえなかった。

この男子生徒の願い事に興味はないが、光の短冊の内容が非常に気になる。
身長を伸ばしたい、にしろ、購買のパン争奪戦に勝ちたい、にしろ萌えることしかない気がする。

私たち生徒会本部メンバーは生徒会として一人一つ、短冊を書くことになっている。
その短冊は生徒会として書いているから面白くない。きっと光も数ヶ丘高校のさらなる発展とか、模範的なことしか書いてないだろう。

問題は個人的に書いた短冊だ。

私が以前、休み時間に玄関ホールを通った時、光が友人と一緒に短冊を飾っているのを見かけた。

生徒会としての短冊はメンバーのみんなで飾ったから、あの時の短冊は個人的なものに違いない。

たしか、この少し下辺りだった気がする。
私は、光にバレないように短冊を回収した。
短冊の左下に、一ノ瀬 光と書かれているから、これで間違いないだろう。


私はその短冊の内容を見た。
二階堂 綺
二階堂 綺
こ、これは……
この時の私は、反射的に感じ取った。

──ああ、何かが動き出してしまう。

と。
お待たせいたしました。
私もよく分からないのですが、間違えて非公開設定にしてしまっていたようで……
誠に申し訳ございませんでした。以後気をつけます。

コンクールで一日お休みをいただきありがとうございました。無事、金賞を受賞することができました。(私がやったのは楽器搬入のバイト程度ですが……)
お待たせしてしまい申し訳ございませんでした。

今回で完結しようとしたのですが……
次回(たぶん)完結です。
よろしくお願いいたします。

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