………どんなことを聞かれるんだろう?
死への恐怖より先に疑問が浮かんだ。
なんでかは知らない。
これかは殺されるだろうに…
レイラーにそう言われて我に返った。
今は、彼女が正しい。
あくまでも…"今は"
…それは俺が幼い時でした。
親によく言われたんです。"貴方は女の子"だと
…それもありましたが、…もう一つ決まり文句がありました。
"ピアニストになりなさい"。
正直、俺はピアノが嫌いです。
どっちかっていうとスポーツのほうが好きでしたが、スポーツ系の習い事を提案されても却下されるどころか、学校の体育の時間すら全て見学でした。
"そんなことより音楽をやりなさい"、"スポーツは男の子がするものよ"、"お母さんに従いなさい"。
…今思えば決まり文句はもっとありましたね
でも俺はどの家系でもこんな感じだろうと思いこんでいました。
親の操り人形のように動かされ、親の前では仮面をかぶるものだろうと
異変に気づいたのは…俺が親を殺した日。
あの日は学校のテストが帰ってきました。
その時…初めて100点のテストをとったんです。
その時、褒めてもらいました。
でもそこまでして…「なぜ自分は親の操り人形のように扱われてるのだろう?」と初めて疑問に思いました。
そこからはあまり覚えてないです。
親を殺したことしか。
まぁ…なんでかと言われると…そうですね
女のように扱われたのもありますけど…一番は
"操り人形にされた"ことでしたね。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。