第5話

泊まり
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2025/10/21 07:00 更新
<甘露寺side>
町へ下りていった炭治郎くんは、みんなに歓迎されていた。

炭を売ってくれと言う者、手伝ってくれたことに対しても感謝を言う者がほとんどだけど。

炭治郎くんの鼻の良さを活かして、ボコボコにされた男の人を助けてあげてもいた。

そんなこんなで、帰るのがすごく遅くなってしまったようだ。

もう日が暮れるという頃にやっと町を出て、山の中に入って行った。

私はそれを見て、鬼狩りという仕事をしているからか、引き止めたくなった。

危ないからどこかで泊めてもらって、と言いたくなった。

だけど、もちろんこれも過去のことなので、この場にいなかった私達にはどうすることもできない。

私達は大人しく炭治郎くんについていった。

少し歩くと、誰かの家の雨戸が大きな音を立てて、開いた。

私達は、炭治郎くんと一緒に驚いて振り返り、そして、雨戸を開けた人を見る。
三郎爺さん
こら炭治郎!お前山に帰るつもりか!
過去の竈門炭治郎
俺は鼻が利くから、平気だよ。
どうやら炭治郎くんの知り合いだったらしく、そんなことを言い合う。

少し距離が離れているから、どちらも声を張り上げている。
三郎爺さん
うちに泊めてやる。来い。戻れ。
過去の竈門炭治郎
でも、、、
三郎爺さん
いいから来い!!
大声で怒鳴るように言われて、炭治郎くんが少しだけ肩をびくりと震わせた。

そんな炭治郎くんを見て、男の人は少しだけ表情を険しくして言った。









三郎爺さん
鬼が出るぞ。










その言葉を聞いて、私達はハッと息を呑んで、お互いに顔を見合せた。

炭治郎くんはそんな私達の間をすり抜けて、渋々と戻っていき、男の人の家に上がらせてもらった。
どうして、あの男の人は鬼のことを知っているのかしら。それに、、、、
時透無一郎
結構本気な表情でしたよね。だとしたら、あの男の人も鬼の被害者かも。
伊黒小芭内
その可能性は高いだろうな。
宇髄天元
派手に信じたくはねぇが、ここまで鬼の脅威が及んでいたんだろうな。
胡蝶しのぶ
狩り逃がした鬼か、元から巣食っていた鬼か、移動している鬼か。いずれにしても、警戒する必要がありますね。冨岡さん、貴方がこの山で炭治郎くんと会った時には、鬼はいなかったんですか?気配くらいわかりますよね?
しのぶちゃんがそう言って冨岡さんに話を振ると、みんなが冨岡さんを見た。

冨岡さんは炭治郎くんが初めて会った鬼殺隊の人だし、何か知っていると思って。
冨岡義勇
(禰豆子も鬼にされていたし、そうすることができるのは鬼舞辻無惨しかいないから)鬼舞辻無惨だろう。
色々端折ったであろう言葉を聞いて、まあそれもそうかと私も納得する。

だけど、不死川さんは納得しなかったようだ。
不死川実弥
あ”ァ?そう言い切れる理由はァ?
喧嘩腰で冨岡さんに突っかかり、睨みつける。

一触即発という空気に、私はドキドキハラハラと冨岡さんが続ける言葉を待った。
冨岡義勇
(人間を鬼にできる鬼は鬼舞辻無惨しかいないし、竈門家襲撃の時に禰豆子が鬼になったから言い切ったが、)わからなかったわかりづらかっただろうか?
冨岡さんが発した言葉は「わからなかったか?」だけで、その前後が何もない。

だから喧嘩を買ったようになってしまって、不死川さんのこめかみに血管が浮き出た。

今にも殴りかかりそうな雰囲気を収めたのは、しのぶちゃんだった。
胡蝶しのぶ
まあまあ、人間を鬼にできるのは鬼舞辻無惨だけですし、それを言いたいのでしょう。そうですよね、冨岡さん?
しのぶちゃんが「反論は認めない」というような笑顔を冨岡さんに向けると、冨岡さんはあっさり頷いた。

それを見て、不死川さんはシラケたように舌打ちをすると、家の方を見た。

日が、山に隠れる。

それと同時に私たちの視界が白くなった。

───嫌な予感がする。

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