<甘露寺side>
町へ下りていった炭治郎くんは、みんなに歓迎されていた。
炭を売ってくれと言う者、手伝ってくれたことに対しても感謝を言う者がほとんどだけど。
炭治郎くんの鼻の良さを活かして、ボコボコにされた男の人を助けてあげてもいた。
そんなこんなで、帰るのがすごく遅くなってしまったようだ。
もう日が暮れるという頃にやっと町を出て、山の中に入って行った。
私はそれを見て、鬼狩りという仕事をしているからか、引き止めたくなった。
危ないからどこかで泊めてもらって、と言いたくなった。
だけど、もちろんこれも過去のことなので、この場にいなかった私達にはどうすることもできない。
私達は大人しく炭治郎くんについていった。
少し歩くと、誰かの家の雨戸が大きな音を立てて、開いた。
私達は、炭治郎くんと一緒に驚いて振り返り、そして、雨戸を開けた人を見る。
どうやら炭治郎くんの知り合いだったらしく、そんなことを言い合う。
少し距離が離れているから、どちらも声を張り上げている。
大声で怒鳴るように言われて、炭治郎くんが少しだけ肩をびくりと震わせた。
そんな炭治郎くんを見て、男の人は少しだけ表情を険しくして言った。
その言葉を聞いて、私達はハッと息を呑んで、お互いに顔を見合せた。
炭治郎くんはそんな私達の間をすり抜けて、渋々と戻っていき、男の人の家に上がらせてもらった。
しのぶちゃんがそう言って冨岡さんに話を振ると、みんなが冨岡さんを見た。
冨岡さんは炭治郎くんが初めて会った鬼殺隊の人だし、何か知っていると思って。
色々端折ったであろう言葉を聞いて、まあそれもそうかと私も納得する。
だけど、不死川さんは納得しなかったようだ。
喧嘩腰で冨岡さんに突っかかり、睨みつける。
一触即発という空気に、私はドキドキハラハラと冨岡さんが続ける言葉を待った。
冨岡さんが発した言葉は「わからなかったか?」だけで、その前後が何もない。
だから喧嘩を買ったようになってしまって、不死川さんのこめかみに血管が浮き出た。
今にも殴りかかりそうな雰囲気を収めたのは、しのぶちゃんだった。
しのぶちゃんが「反論は認めない」というような笑顔を冨岡さんに向けると、冨岡さんはあっさり頷いた。
それを見て、不死川さんはシラケたように舌打ちをすると、家の方を見た。
日が、山に隠れる。
それと同時に私たちの視界が白くなった。
───嫌な予感がする。











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。