第4話

竈門家
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2025/10/14 07:00 更新
<甘露寺side>
次に私達が飛ばされた場面は、空は少し曇っていて、だけど、朝だということがわかった。

ザクザクと雪を踏みしめながら歩いてきた過去の炭治郎くんの顔は、煤で真っ黒だった。

炭治郎くんのおうちは炭焼きだから、こういうこともよくあるのだろう。

そんな炭治郎くんを見て、炭治郎くんのお母さんが目を丸くする。
竈門葵枝
おや、炭治郎!こっちにおいで。
お母さんに言われて、炭治郎くんが少し不思議そうな顔をしながらもお母さんに寄っていく。

すると、お母さんは自分の手を手ぬぐいで拭い、そのまま炭治郎くんの顔も拭った。
竈門葵枝
今日は雪も降ってて危ないし、行かなくてもいいんだよ。
お母さんが、心配そうに眉尻を下げながら炭治郎くんの顔を拭い、そう言う。

炭治郎くんは、その言葉に「いや、」と答える。
過去の竈門炭治郎
大丈夫。行くよ。みんなにいっぱい食べさせてやりたいんだ。
炭治郎くんがそう答えると、お母さんは少し困ったように笑った。

その時、家の影から「兄ちゃーん!」とふたりの小さい子供が飛び出してくる。
兄ちゃんだけずるーい!
花子
わたしも行きたいー!ねえお兄ちゃん、いいでしょ?
竈門葵枝
だめよ。2人共、炭治郎みたいに早く歩けないし、今日は荷台にも乗せてもらえないのよ。
お母さんに窘められると、2人はむくーっと頬を膨らませて拗ねる。

そんな2人に苦笑し、そして炭治郎くんは2人の頭をポンポンと撫でた。
過去の竈門炭治郎
美味しいもん、いっぱい買ってくるから。花子も、帰ってきたら絵本を読んであげよう。な?
炭治郎くんがそう言うと、2人はパァッと顔を明るくさせて、笑って頷いた。

その時、私達の斜め後ろから、「兄ちゃん!」と炭治郎くんを呼ぶ声が聞こえた。

見ると、さっき拗ねていた男の子よりも少し大きい男の子が斧を片手にむくれていた。
過去の竈門炭治郎
竹雄。そうだ、俺がいない間、木を切っていてくれないか。なるべく多く。
竹雄
そりゃあやるけどさぁ、、、兄ちゃんも一緒にやると思ったのにさぁ、、、
弟くんのその言葉を聞いて、炭治郎くんは少し嬉しそうに笑うと、頭をもしゃもしゃ撫でた。
竹雄
やめろよぉ!!
弟くんはそれを叩き落としたが、炭治郎くんは楽しくなったのか、またもしゃもしゃと撫で始めた。

弟くんは「やめろってば!」と抵抗するが、お兄ちゃんの炭治郎くんには勝てない。
兄ちゃん、照れてらー!
竹雄
うるせぇ!!
そんなやり取りに、その場にいる炭治郎くん含め、お母さんも妹ちゃんも弟くんも笑う。

照れていたらしい弟くんは、それを見て更に顔を赤くするが、それもまた可愛らしい。
平和ねぇ、、、
悲鳴嶼行冥
あぁ、、、睦まじい、、、
私と悲鳴嶼さんが同時に言い、私は恥ずかしくて悲鳴嶼さんを見る。

すると、悲鳴嶼さんは数珠をジャリジャリしながら涙を流していた。

───意外と涙脆いのよね。可愛い!

私がそれを見てキュンキュンしていると、炭治郎くわがおもむろに炭のいっぱい入った籠を背負った。

そして、私達の方を向く。

一瞬ドキリとしたけれど、私は自分の後ろを振り返って納得した。

私達の後ろには、小さい男の子をおんぶした人間の禰豆子ちゃんがいたからだ。

禰豆子ちゃんは、炭治郎くんからの視線を感じ取ると、小さい弟くんを見て苦笑いをした。
竈門禰豆子
六太を寝かしつけていたの。……お父さんが死んじゃって寂しいのよね。みんな、お兄ちゃんについて回るようになった。
禰豆子ちゃんはそう言うと、弟くん、、、六太くんの寝顔を見て穏やかに笑う。

そっか、、、先程まで私達を圧倒させるようなすごいところを見せてくれていたお父さんは、亡くなってしまったのか。
竈門禰豆子
行ってらっしゃい!
禰豆子ちゃんは、気を取り直すように笑って、炭治郎くんに向かって声をかけた。

そして、炭治郎くんは少しだけ先に進んで、振り返って手を振る。
過去の竈門炭治郎
行ってきます!!
その声に、1家全員が笑って手を振り返した。

炭治郎くんはそのまま、サクサクと雪を踏んで山を下りていく。

籠の中の炭が、カラカラと揺れた。
胡蝶しのぶ
追いましょう。
いつも通り、しのぶちゃんの声で、私達は炭治郎くんを追いかけ始めた。

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