飯田「皆ーー！！朝のHRが始まる！席につけー！」



瀬呂「ついてるよ、ついてねえのおめーだけだ」







　意味深な手の動きで皆に呼びかける空回り委員長に的確なツッコミが入る。



　そんな彼に対し「ドンマイ」と声をかける麗日が目に入る。






　…… そんな事はさておき、相澤先生はUSJ襲撃事件で結構な深手を負っていたと聞く。



　概要は両腕粉砕骨折、顔面骨折 …… と聞くだけで痛々しいもの。




　そんな状態で学校に来れる筈もないか。


　多分 代わりの先生が来るんだろう。



















相澤「おはよう」







　　　「「「相澤先生 復帰早ええぇ！！！！」」」







　教室に入ってきたのは顔面等々に包帯を巻いているミイラを彷彿とさせる相澤先生だった。







飯田「先生、無事だったのですね！！」



麗日「無事言うんかなぁ アレ ……」






相澤「俺の安否はどうでも良い。何よりまだ戦いは終わってねぇ」






爆豪「戦い？」



緑谷「まさか ……」



峰田「まだヴィランがーー！！？」































相澤「雄英体育祭が迫ってる！」








　　　「「「クソ学校っぽいの来たあぁ！！！」」」








切島「ヴィランに侵入されたばっかなのに大丈夫なんですか！？」







　切島の言う事も一理ある …… でもきっと雄英側は＿＿＿







相澤「逆に開催する事で雄英の危機管理体制が盤石だと示す …… って考えらしい。警備は例年の5倍に強化するそうだ」

　　　「何より雄英（ウチ）の体育祭は〝最大のチャンス〟。ヴィラン如きで中止していい催しじゃねえ」






　　　「ウチの体育祭は日本のビッグイベントの一つ！かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ、全国が熱狂した」

　　　「今は知っての通り規模も人口も縮小し形骸化した …… そして日本に於いて今〝かつてのオリンピック〟に代わるのが＿＿＿＿」


















　　　「雄英体育祭だ！」







　たしか全国のトップヒーローも観に来るとの話だ。


　適当にはできない。それに＿＿＿＿＿








　胸元のペンダントを握り、一つ息をつく。







相澤「当然名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限、プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだ」

　　　「年に一回、計3回だけのチャンス。ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ」


































　＿＿＿昼休み







　　　Side：緑谷






　体育祭か …… ワクワクする反面 不安が …………


　まだちゃんと個性が扱えるわけでもないし …… 先は遠いなぁ、







切島「なんだかんだテンション上がるな オイ！」



瀬呂「活躍して目立ちゃ プロへのどでけぇ一歩を踏み出せる！」







緑谷「皆 すごいノリノリだ ……」



飯田「君は違うのか？ヒーローになる為 在籍しているのだから燃えるのは当然だろう！？」







　独特の動きでそう僕に言う飯田くん。

　燃え方がすごく個性的だ ……







緑谷「僕もそりゃそうだよ！？でも何か ……」



麗日「デクくん、飯田くん ……」







　名指しされ、麗日さんの方を見やる。







麗日「頑張ろうね、体育祭」



緑谷「顔がアレだよっ 麗日さん！？」







　険しい表情の麗日さん。気合の入りがすごいなぁ …… 僕も負けてられないっ







緑谷「よしっ！　…… ってあれ … 霞四宮さん、」







　頬をパチンと叩き気合を入れていると、偶然 目に入ったのは一人教室から出ていく彼女。







爆豪「………… チッ、」







　かっちゃんも教室内の盛り上がりように苛立ったのか、霞四宮さんの後を追うようにして教室を出ていった。



















　　〝他人の命とか心底どうでもいいんだよね〟



　〝目的の為なら多少の犠牲は仕方ないじゃない〟













　あれ程ヒーローになる素質を持っておきながら、他人に無頓着で ……




　歪んだヒーロー精神を持っている霞四宮さんには …… きっと理由があると思うんだ。