あなた『はぁ ……』
人気のない雄英校舎外。
これといって外に用もなかったが、喧しい教室から逃げる為とも言っておこうか。
ベンチを見つけ、そこに腰掛ける。
教室から抜け出したのは喧しかったのが理由だけじゃない、
ただ …………
___あそこにいるのはすごく場違いに感じたから。
特にやる事もなく、制服のポケットから取り出したスマホを弄っていると画面に影がかかる。
顔を上げるとそこにいたのは、
あなた『爆豪、』
仏頂面で購買で買ったであろうメロンパンを齧り、こちらを見下ろす彼。
何か言うでもなく、空いていた私の隣にドカッと座る。
あなた『…… 何しにきたの、』
爆豪「あぁ゙?ンでもねーよ、教室が煩かったから外 来ただけだわ」
爆豪からの返しに私は特に何か応えるでもなく黙る。
けれど爆豪はいつものように「無視してんじゃねー!!」とキレてかかってこなかった。意外
爆豪「……… 頬、」
あなた『は?』
爆豪「怪我したんか」
私のガーゼの貼ってある右頬に目を向け、そう言う爆豪。
そういえばコイツあの場にいなかったし、事情知らないのか。
あなた『あの日の …… ヒーロー基礎学あった後、轟と少し揉めてできた傷』
爆豪「ハッ、頬に傷つけるまで痛めつけられたんか(笑」
鼻で笑って返す爆豪。
右ストレートを今すぐにでもきめてやりたいがまた説教だなんて事になったら面倒だしな ……
あなた『___ヒーローはステージ上の演者で、救けられる人間は観客。…… そのステージの裏側はどうなってると思う?』
爆豪「…………」
あなた『煌めく憧憬だけを客に見せ続け、影には蓋をし目を背ける …… それがヒーローなんだよ。… ま、急にこんな話されてもわかんないか、わすれていいよ』
ベンチから立ち上がり、校舎内へ向かおうとすると突然 腕を掴まれる。
あなた『何、』
爆豪「チッ………、ん」
爆豪が眼前に突き出してきたのは食べかけのメロンパン。
あなた『え、何 …… 急に』
爆豪「てめぇで勝手に食っとけ」
無理矢理 手に持たされたメロンパン。
彼は眉を顰める私なんて露知らず、颯爽と校舎内へと帰っていく。
いや、勝手はどっちだよ ……
彼に渡されたパンを一つ齧り、校舎内へと歩を進めた。
___放課後
麗日「なっ、何ごとだぁ!!!?」
A組の前には人集りができ、廊下に出ようにも出られない状況。
峰田「出れねーじゃん!何しに来たんだよ!」
爆豪「敵情視察だろ 雑魚。ヴィランの襲撃を耐え抜いた連中だもんな、体育祭の前に見ときてえんだろ」
「ンなことしても意味ねェから退け モブ共」
他の科から反惑を買い得ない台詞。また面倒な事になるな思い、鞄を持ち息を吐く。
??「どんなもんかと見に来たが随分偉そうだなぁ」
「ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?」
爆豪「あ゙ぁ!?」
心操「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ」
聞き慣れない声。
制服の方についてるボタンが2つじゃないからヒーロー科以外の生徒なんだろう。
心操「普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴、結構いるんだ 知ってた?」
「体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだって …… その逆もまた然りらしいよ」
「敵情視察?少なくとも俺は調子乗ってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しに来たつもり」
??「隣のB組のモンだけどよぅ!!ヴィランと戦ったっつーから話聞こうと思ってたんだがよぅ!偉く調子づいちゃってんなオイ!」
「本番で恥ずかしい事んなっぞ!!」
あなた『邪魔、退いて。』
ドア前で密集している他科の生徒らにそう言い、目を鋭くして見やる。
あなた『視察に来る暇あるなら、準備しときなさいよ。私にやられる準備をね』
上鳴「ちょ、えっ霞四宮!!?俺らにも火ぃ飛ぶってそれ!」
爆豪「ハッ、言ってくれンじゃねえかアイツも ……。あのモブ共も何も、上に上がりゃ関係ねえ」
切島「くっ……!!シンプルで男らしいじゃねえか!さすがだぜ 爆豪、霞四宮!!」
瀬呂「霞四宮は男じゃねえけどな(笑」
常闇「上か …… 一理ある」
上鳴「騙されんな!無駄に敵増やしただけだぞ!」
___雄英体育祭まで刻一刻と日が迫ってきていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!