第17話

はじまり
1,208
2019/04/24 09:18
由里の…思ってるとおり…?


嘘、つかれた…?


じゃあ、私との関係はなんなの?


別に先輩に言い寄ってないし。


告白してきたのそっちだし。


なんで本当の事を言わないの?


隠して由里先輩を安心させてるの?


本当の彼女は…


私じゃないの…?


目からこぼれ落ちた一滴の雫。


今まで…


私は何をしてたんだろう…


空気が重くて。


苦しくて。


私は走って逃げた。


「はぁっ、はぁっ…」


中庭から、下駄箱を通って校庭まで来た。


誰もいない。


それもそのはず。


みんなもう帰っている。


この日、私は委員会で遅くまで残っていたから。


雪が降る中、私は校庭の真ん中で1人立ちつくしていた。


コートは教室、マフラーもしていない。


手が赤くなり、ジンジンと痛んだ。


「ふ…うっうぅっ」


どうして…っ


私がこんな目に遭わなきゃいけないのっ…


大声で叫びたかった。


泣きたかった。


でも私は声を殺して泣いた。


だって、悔しかった。


ここで泣いたら…


惨め。


ただ振り回されてた負け犬。


あの由里先輩からも鼻で笑われるんだ。


そんなのは絶対に嫌だった。


「あなた!」


後ろから私を呼ぶ声がした。


振り返りたくない。


だってその声、


遥斗先輩…。


なんで、


なんで来たの?


私は頑張って前に進んだ。


逃げた。


でも逃げ切れるはずがない。


寒さで上手く足が動いてくれない上に、相手は男の子だ。


直ぐに追いつかれて、肩を掴まれた。


「嫌っ!

離して!!」


私は肩に触れられた遥斗先輩の手を振り払った。


私はなんでもないんでしょ!


遥斗先輩の彼女じゃないんでしょ!!


「あなたっ!

とりあえずお前、これ着ろっ」


遥斗先輩は自分が着ていたコートを脱いで私に被せた。


「な、何するんですかっ」


「コートも着ないでこんなところ…

風邪引くぞっ」


意味わかんないよっ


なんで優しくするの?


「いいですっ

もう教室戻りますからっ」


私はコートを返そうとした。


しかし、それは遥斗先輩に阻まれた。

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