......頭が追いつかない。
口をパクパクさせる俺を残し、
佐藤は満足そうにキッチンへと去っていった。
そして、夕方。
バイトの時間が迫り、俺はベッドから降りる。
確か先程、佐藤は俺の服を洗濯機に放り込んでたっけ。
今は佐藤に借りたトレーナーを着ているのだけれど、サイズは大きいし、こんな格好でバイトに行く訳にはいかない。
ちなみに佐藤は今、夕飯の買い出しに出ているので、
抜け出すなら今しかない。
服は明日以降にでも返してもらうとして、
今はとにかく、隣の自分の部屋に戻ろう。
そう決めると、俺は急いで荷物をまとめ、佐藤の部屋を出た。
当たりを確認しながら、急いで自分の部屋に入ると、
なんだか夢から覚めたような気持ちになる。
これからバイトだし、一旦しっかり現実に意識を戻すべく、
ゆっくり深呼吸をする。
そして自分の服に着替え、佐藤に借りたトレーナーはクリーニングに出すことにした。
なんだかんだ世話になったし、
せめて服はちゃんと綺麗にして返したい。
俺はトレーナーを紙袋に入れると、
カバンと一緒に持ってバイトへ向かった。
と、そこまでは良かったのだか。
駅へ向かう途中、スーパーの近くに佐藤を発見した。
ちょうど駅の手前にスーパーがあるので、予想はしていた。
しかし、見つかってはいない。
自転車置き場を通り抜けていく佐藤を見送ってから、
俺は再び駅に向かって歩みを進める。
するとその時、後ろから聞き覚えのある声が。
確か、藤野先輩、だ。
気になって、俺はついつい建物の影から2人を観察する。
藤野先輩に気づいた佐藤は、嬉しそうに手を振って応えている。
楽しそうに話している2人。
おそらく、恋愛サークルの話で盛り上がっているのだろう。
俺は心の中で吐き捨てると、クルリと背を向け、駅へと急いだ。
𝙉𝙚𝙭𝙩 .














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。